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03月11日-04号

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  1. 高知県議会 1998-03-11
    03月11日-04号


    取得元: 高知県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-16
    平成10年  3月 定例会(第246回) 平成十年三月十一日(水曜日)             開議第四日---------------------------------------出席議員 一番 川田雅敏君    二番 黒岩直良君 四番 浜田英宏君    五番 樋口秀洋君 六番 山本広明君    七番 植田壮一郎君 八番 門田盛一郎君   九番 武井啓平君 一〇番 中野善弘君   一一番 藤戸 進君 一二番 森 雅宣君   一三番 雨森広志君 一五番 西尾一雄君   一六番 東川正弘君 一七番 溝渕健夫君   一八番 元木益樹君 一九番 依光隆夫君   二〇番 土森正典君 二一番 西森潮三君   二二番 森下博之君 二三番 結城健輔君   二四番 中平和夫君 二五番 西岡寅八郎君  二六番 小松 雅君 二七番 広田 一君   二八番 朝比奈利広君 二九番 池脇純一君   三一番 中沢潤二君 三二番 牧 義信君   三三番 塚地佐智君 三四番 梶原守光君   三五番 田頭文吾郎君 三六番 田村輝雄君   三七番 森田益子君 三八番 井上自由君   三九番 川添義明君 四〇番 市川精香君   四一番 江渕征香君 四二番 熊井一夫君欠席議員 三〇番 猪野茂行君---------------------------------------説明のため出席した者 知事      橋本大二郎君 副知事     山本 卓君 出納長     岡林章夫君 総務部長    高尾和彦君 企画部長    島田一夫君 健康福祉部長  山崎淳一君 文化環境部長  兵谷芳康君 商工労働部長  川村龍象君 農林水産部長  安部 望君 土木部長    井添健介君 国体準備局長  西本 浩君 森林局長    山本忠道君 海洋局長    新谷正雄君 港湾局長    橋立洋一君 企業局長    森光 稔君 病院局長    須藤 明君 教育委員長   宮地彌典君 教育長     吉良正人君 人事委員長   上谷定生君 人事委員会        木下武良君 事務局長 公安委員長        中村哲男君 職務代理者 警察本部長   高橋泰博君 代表監査委員  山本正和君 監査委員        中西啓純君 事務局長---------------------------------------事務局職員出席者 事務局長    浅田昌男君 事務局次長        林 宏興君 兼調査課長 議事課長    山崎宣生君 議事課長補佐        森岡満明君 兼記録班長 調査課長補佐  北 俊介君 主幹      浜口佐知君 主幹      佐竹あき君---------------------------------------議事日程(第4号)   平成10年3月11日午前10時開議第1 第1号 平成10年度高知県一般会計予算 第2号 平成10年度高知県給与等集中管理特別会計予算 第3号 平成10年度高知県用品等調達特別会計予算 第4号 平成10年度高知県土地取得事業特別会計予算 第5号 平成10年度高知県災害救助基金特別会計予算 第6号 平成10年度高知県母子寡婦福祉資金特別会計予算 第7号 平成10年度高知県中小企業近代化資金助成事業特別会計予算 第8号 平成10年度高知県流通団地造成事業特別会計予算 第9号 平成10年度高知県農業改良資金助成事業特別会計予算 第10号 平成10年度高知県県営林事業特別会計予算 第11号 平成10年度高知県林業改善資金及び国産材産業振興資金助成事業特別会計予算 第12号 平成10年度高知県沿岸漁業改善資金助成事業特別会計予算 第13号 平成10年度高知県流域下水道事業特別会計予算 第14号 平成10年度高知県港湾整備事業特別会計予算 第15号 平成10年度高知県水産指導実習船特別会計予算 第16号 平成10年度高知県電気事業会計予算 第17号 平成10年度高知県工業用水道事業会計予算 第18号 平成10年度高知県観光施設事業会計予算 第19号 平成10年度高知県病院事業会計予算 第20号 平成9年度高知県一般会計補正予算 第21号 平成9年度高知県用品等調達特別会計補正予算 第22号 平成9年度高知県土地取得事業特別会計補正予算 第23号 平成9年度高知県災害救助基金特別会計補正予算 第24号 平成9年度高知県中小企業近代化資金助成事業特別会計補正予算 第25号 平成9年度高知県流通団地造成事業特別会計補正予算 第26号 平成9年度高知県流域下水道事業特別会計補正予算 第27号 平成9年度高知県港湾整備事業特別会計補正予算 第28号 平成9年度高知県電気事業会計補正予算 第29号 平成9年度高知県工業用水道事業会計補正予算 第30号 平成9年度高知県病院事業会計補正予算 第31号 高知県人権尊重の社会づくり条例議案 第32号 災害に際し応急措置の業務に従事した者に係る損害補償に関する条例議案 第33号 高知県情報公開条例の一部を改正する条例議案 第34号 高知県職員定数条例の一部を改正する条例議案 第35号 職員の分限に関する手続及び効果等に関する条例の一部を改正する条例議案 第36号 地方自治法第二百三条に規定する者の報酬、期末手当、費用弁償等に関する条例及び知事等の給与、旅費等に関する条例の一部を改正する条例議案 第37号 職員の旅費に関する条例等の一部を改正する条例議案 第38号 高知県部設置条例の一部を改正する条例議案 第39号 出頭者、鑑定人等の報酬、費用弁償等に関する条例の一部を改正する条例議案 第40号 議会の議員その他非常勤の職員の公務災害補償等に関する条例の一部を改正する条例議案 第41号 高知県税条例の一部を改正する条例議案 第42号 高知県庁舎建設基金条例の一部を改正する条例議案 第43号 高知県立人権啓発センターの設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例議案 第44号 保健所の位置、名称及び所管区域に関する条例及び高知県食肉衛生検査所設置条例の一部を改正する条例議案 第45号 高知県工業技術センターの設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例議案 第46号 高知県ふるさと・水と土保全基金条例の一部を改正する条例議案 第47号 高知県収入証紙条例の一部を改正する条例議案 第48号 高知県工業用水道条例の一部を改正する条例議案 第49号 公立学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例議案 第50号 高知県立学校授業料等徴収条例の一部を改正する条例議案 第51号 高知県高等学校定時制課程及び通信制課程修学奨励資金貸与条例の一部を改正する条例議案 第52号 高知県立青少年センターの設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例議案 第53号 高知県警察の設置及び定員に関する条例の一部を改正する条例議案 第54号 高知県へき地勤務医師等修学資金貸与条例を廃止する条例議案 第55号 高知県繭検定所設置条例等を廃止する条例議案 第56号 平成10年度当せん金付証票の発売総額に関する議案 第57号 南国市と土佐山田町との境界の一部を変更する議案 第58号 公平委員会の事務の委託を受けることに関する議案 第59号 県有財産(教学機器)の取得に関する議案 第60号 県有財産(美術品)の取得に関する議案 第61号 県有財産(ふれあいの里整備事業用地)の処分に関する議案 第62号 県が行う土地改良事業に対する市町村の負担の一部変更に関する議案 第63号 県が行う土地改良事業に対する市町村の負担の一部変更に関する議案 第64号 県が行う土木その他の建設事業に対する市町村の負担の一部変更に関する議案 第65号 国道493号(北川奈半利道路)道路改築(久府付トンネル工事請負契約の締結に関する議案 第66号 県道川之江大豊線緊急地方道路整備工事請負契約の締結に関する議案 第67号 県道高知南インター線道路改築五台山トンネル工事請負契約の締結に関する議案 第68号 県道横浪公園線道路改築横浪トンネル北工区)工事請負契約の締結に関する議案 第69号 県道横浪公園線道路改築横浪トンネル南工区)工事請負契約の締結に関する議案 第70号 春野総合運動公園陸上競技場サイドバックスタンド建築主体工事請負契約の締結に関する議案 第71号 伊野商業高校体育館改築主体工事請負契約の締結に関する議案 第72号 林業総合センター整備事業造成工事請負契約の一部を変更する契約の締結に関する議案 第73号 高知県道路公社への有料道路の引継ぎについての同意に関する議案 第74号 高知県道路公社定款の一部変更に関する議案 第75号 永瀬、吉野及び杉田発電所の電力料金に関する議案 報第1号 平成9年度高知県一般会計補正予算専決処分報告 報第2号 損害賠償の額の決定に関する専決処分報告第2 一般質問 (3人)--------------------------------------- 午前十時五分開議 ○議長(土森正典君) これより本日の会議を開きます。--------------------------------------- △質疑並びに一般質問 ○議長(土森正典君) 直ちに日程に入ります。 日程第一、第一号から第七十五号まで並びに報第一号及び報第二号、以上七十七件の議案を一括議題とし、これより議案に対する質疑並びに日程第二、一般質問をあわせて行います。 一番川田雅敏君。 (一番川田雅敏君登壇) ◆一番(川田雅敏君) おはようございます。質問に先立ちまして、このたび今月で御勇退されます山本副知事と岡林出納長に、その長年の御労苦に対しまして、心から敬意を表しますとともに感謝を申し上げたいと思います。本当に御苦労さまでした。 私は、まず平成十年度の予算案につきまして、知事を初め執行部の皆さんにお尋ねします。来年度予算編成の三つの柱のうち、社会環境の変化に対応した政策の展開がそのうちの一つの柱となっています。この中で、情報通信関係の整備など産業技術の振興などについては、新しい時代への対応として新規ソフト事業の提案も多く、その意図もよくわかるところです。しかし、全体的な印象として、農業や林業などの一次産業については、一次産業が今置かれている現状や歴史的な背景、そして今県民が感じている将来に対する不安について十分にこたえる予算になっていないというのが私の印象です。 特に、私が中山間地の代表的な地域に住み、その地域の人たちから県への要望としてよく耳にし、感じている点が予算案に反映されていないと思うわけです。私が今地域でよく耳にしますのは、レンタルハウスと林業での作業道の予算枠の拡大の二つです。この二つの言葉をキーワードに、またヒントに、これからの時代に対応した予算も編成されなければならないと思うわけです。 具体的に言いますと、まず農林水産部ではレンタルハウスの予算ですが、去年と同じ二億六千万円余りの予算が計上されています。しかし、なぜ去年と同じ額なのかと担当部局にお聞きしますと、返ってくる答えは、まず、県単事業は二〇%カットの御時世です、去年度並みは評価してほしいという答えです。私が感じるのは、なぜまず最初にそんな答えしかできないかということです。 県民は、去年の知事の減反発言や野菜の輸入の必然性等々の発言もあり、肌で、米づくりをどうしていけばいいのか、施設園芸への転換をしたいが、レンタルハウスの予算は余りないと聞いているがどうなのだろうか、技術の習得はどうすればいいのだろうか、さらに言えば、兼業農家ではどっちにも力を入れられないし、公共事業も削減されるといよいよ困るがどうしようかといったように思いをめぐらしているわけです。 そこで思うには、レンタルハウスの予算が、根本的に去年度並みの予算の立て方や考え方でいいのだろうかということです。二年後には農業基本法の改正やWTO--世界貿易機関の再交渉が迫ってきています。来年度予算には将来の高知県のあるべき農業のあり方を探る予算や、または構造転換を図っていく、そんな予算が積極的にあってしかるべきではないかと思うわけです。そうした検討はなされたのかどうか、これからどうするのか、この点について、まず知事にお答え願いたいと思います。 また、林業面でも、今木材価格は史上最悪と言われるほど価格の低迷が続き、不況とともに景気の落ち込みで、林業界は倒産など厳しい状況が続いています。しかも、今後国内では木材の材積量がますますふえ、これまで以上に産地間競争が激化していくことが予想されています。こうした状況の中で取り組まれた来年度予算において、林業面では、まず八、九齢級の高齢級間伐が作業道とリンクして取り組まれ、また作業道としての予算が倍増されたことは大変評価されてよいのではないかと思います。 しかし、今最も林業界に問われているのは、新しい時代に対応する、またはしていかなければならない乾燥材の供給体制への先鞭を、いかに早くつけるかということではないでしょうか。乾燥材への取り組みは、地球温暖化、CO2削減問題、さらに木材の工業製品化への取り組み、間伐の促進、さらに現場でのコスト削減、そして過積載問題等々のクリアについて、乾燥材の供出がいかに今日的課題であり、かつ有効であるか、昨年九月の定例議会でも提起したわけです。そして、先日の熊井議員の指摘にも執行部から答弁があったように、今や乾燥材供給に関しては一般的社会常識とまでなっていると言っても過言ではないと思います。 さらに、今後の産地間競争に打ち勝つためにも、この乾燥材の供給体制については、森林県の高知県が林業予算として来年度予算に真っ先に上げなければならない課題ではないでしょうか。この問題に対し、私が去年九月議会で森林局長にお聞きしたところ、全国に先駆けて積極的に取り組んでいただけるとの答弁をいただき、実現するものと確信しておりました。しかし、なぜその取り組みが来年度の予算で予算化できないのか、不思議でなりません。もう一度去年九月議会の議事録を読み返してください。 貴重な時間ですが、来年度予算案に盛り込まれている、あなたたちが言う乾燥材の供給に関する予算と具体的な問題点について指摘してみたいと思います。 この問題についての来年度予算は、新時代への産業展開・新規事業「葉付乾燥材出荷モデル事業費」として百四万七千円が上げられています。これでは去年の答弁の内容にはほど遠く、乾燥材の供給体制を構築すると口では言っても、二重、三重の意味でとても信じられません。といっても、現場をよく御存じない方は、県はちゃんと予算をつけて、いよいよ乾燥材の取り組みも我が高知県が全国に先駆けて始まるかと思われるかもしれませんが、金額もさることながら、内容的にも本当にこれでは何もできないのです。 この予算で何をするかといえば、葉枯らし乾燥材が山元から原木市場へ、そして乾燥度合いや強度をはかり、問屋や製材業者にどのように流通していくのかその経路を調べるといったものでしかないのです。もちろん全く否定はしません。これも必要でしょう。しかし、私が言っているのは、また嶺北の林業関係者が待ち望んでいるのはこんなものと違うのです。 それは、まず第一に、どうすれば山元から葉枯らし乾燥材をたくさん出荷することができ、しかもそれが乾燥材としてブランド化され流通経路に乗るようになるかという一点です。十年も前から、葉枯らし乾燥材の出荷の取り組みが行われてきました。しかし、よいことはわかっていても、なぜ山元から材が出てこないのですか。そして、葉枯らし乾燥材としてなぜ流通しないのですか。原因は、山元にすれば、まずメリットがないからです。原木市場でそれなりに評価されないからです。市場でなぜ評価されないかといえば、どの材が葉枯らしでどれが生材かわからないため、選別せず競りにかけていることや、選別したとしても経費がかさむため選別ができないという悪循環に陥っているのです。 このために、我が高知県では、今年度予算で材木の乾燥度合いと強度をはかる機械の予算化をし、一千万円をかけて全国に先駆けて計測器の開発が実現をしたのです。その機械は、先日嶺北の木材を扱う原木市場に設置されました。だから私はこれを見越し、去年の九月議会で、その機械を使った実効ある来年度予算の取り組みを提案したわけです。 では、何が足りないのか、どうすればいいのか、くどいようですが再び提案します。一つには、葉枯らし乾燥材を原木市場に持ち込んだ人には、葉枯らし乾燥材として一立方メートル当たり幾らというふうに直接補助金を出すことです。そして、乾燥度合いと強度を調べる市場に対し、その経費を支払うことです。この二つがそろわなければ、山元から木も出なければ、市場で乾燥材としてブランド化して売ることもできません。 あなたたちの言う葉付乾燥材出荷モデル事業で何ができるのですか。流通経路の実態を調べ、そしてブランド化したいとただ口で言っているとしか思えないのです。市場でどれが葉枯らしか生材かわからないと言っているのに、流通の追跡調査ができるのですか。そのことがいかにでたらめかということは、この機械が据えつけられた原木市場の責任者が、経費がないと選別も何もできないとはっきり言っていることからも裏づけられているわけです。 来年度予算の百四万円だけでは、今までのように葉枯らし乾燥材は山元からは出てこず、実際市場で計測しようにも経費がなければ選別できないと言っているのに、流通の経路を調べようにも手がつけられないのではないですか。私が県の担当者に、「予算がないと現場では何もできないと言っているがどうするのですか」と尋ねると、「県の職員が行って木材の乾燥度合いをはかる」とは、全くあいた口がふさがらないとはこのことです。こんなことではこの百四万円の予算は全くむだになります。予算として認めるわけにはいかないのであります。 さらに、こんな流通の調査のために取り組みが一年もおくれることは、なおさら許されません。このことはきのう朝比奈議員も言っていましたが、あなた方は県民の痛みがわかりますかと言いたくなります。 しかし、捨てる神あれば拾う神ありで、今年度から初めて導入される市町村活性化総合補助金、十億円事業の中で、今嶺北五カ町村で、県がやらないのならば積極的に取り組みたいという動きがあります。乾燥材が山元から積極的に出、原木市場でもせっかくつくられた計測機械が生かせ、全国に先駆けた乾燥材の供給体制の確立と乾燥材としてのブランド化をしようというものです。これを広域行政の事業として提案したいとの意向なわけであります。全国に先駆けて誇りを持って取り組めるこんな事業に、どれほどのお金がかかるというのでしょうか。去年九月の段階では具体的な金額は言いませんでしたけれども、今具体的に進めるために金額も述べたいと思います。 モデル事業としては、わずか千五百万円あればいいのです。嶺北の原木市場でブランド化していくには、最低年間一万立方メートルほどの葉枯らし材が必要と考えられています。そして、葉枯らしを乾燥材として山元に還元していく補助金と市場で材木を計測する経費、合わせて千五百万円ほどあればいいのではないかという計算を今しています。この予算が認められて初めて、計測機械をつくったことしの一千万円の予算と、来年度予算案に計上されている百四万円の葉枯らし乾燥材の追跡調査の予算も生きてくるのではないでしょうか。 この際、ぜひ全国に先駆けた乾燥材の供給システムが稼働していくよう、執行部には嶺北五カ町村とともにぜひとも取り組んでいただきたいと思います。来年では遅過ぎます。林業関係者は一日も早い乾燥材への取り組みを待っているのです。再度、森林局長に、乾燥材の供給体制の確立に向けた具体的な決意をお伺いしたいと思います。 次に、環境行政についてお伺いします。NPO--民間の非営利団体の育成と支援の問題についてお伺いします。NPOをめぐる動きとしましては、今月四日、NPO法案が参議院を通過し、今月中にも衆議院で可決され成立する見込みだと聞いています。そして、今議会にも文化環境部から来年度予算として、このNPOを積極的に育成し支援していくために、新規事業として「市民活動促進事業費」が計上されています。いよいよ市民運動の新しい幕あけの感がしているわけです。 既に高知県では、文化環境部の所管の中ではこうしたNPO--非営利団体として二つの市民団体が、国の法律を先取りする形で、社団法人として、さらに特定公益増進法人として知事の認可を得、活動をしています。その一つは、皆さん御存じのように中村市にある「トンボと自然を考える会」であり、もう一つはメダカ号やメダカトラストで知られている「高知県生態系保護協会」です。知事もこれまでの議会答弁で、こうした市民団体・NPOの育成と支援についてはたびたび言及され、その必要性や意義についてはかなりオーソライズされてきていると思っています。しかし、まだ不十分と思える点もあり、以下具体的な問題として知事及び文化環境部長にお尋ねします。 文化環境部の来年度予算の中に、新規事業として「環境教育推進事業」が組まれています。この事業の主なものの一つとして、環境学習車を活用した地域別体験型環境学習の実施が挙げられています。県の計画では、この環境学習車は基本的に県が直接管理し、年間九十日程度運用する計画となっています。しかし、この環境学習車というのは、もともと別名メダカ号のことで、先ほど御紹介しました高知県生態系保護協会が市民からの寄附も得て始めた事業であるわけです。 しかしこの事業は、市民団体だけの力では活動にも限界があったわけですが、おととしの六月、高知市で開かれた高知県グラウンドワークフォーラムにおいて橋本知事や当時の岩垂環境庁長官から高い評価を受け、環境庁から高知県生態系保護協会に支援を約束されていたものです。それは、新しい車の購入費などとして千五百万円の半額を国が、そして車の運営の委託費として三年間分その経費の半額を出そうという具体的なものであったわけです。 この件につきましては、市民団体・NPOの育成と連携の視点から、去年九月の本会議で文化環境部長にお尋ねをし、部長からは「民間団体の先進的な取り組みと連携し、協力もいただきながら、環境学習の充実やグラウンドワークの促進に積極的に取り組んでまいります」という答弁をいただいています。しかし、来年度予算案の中身を見ますと、この環境学習車は県の直営になっているわけです。そして、県直営の問題点は二つに要約されると思います。 一つは、県の職員の専門性の問題です。この事業は、環境対策課を初め教育委員会や森林局など幅広い部局や、そして市町村や市民団体などからの提案に対し、それぞれ担当部局の者が自分で車を運転して出かけ説明を行うと聞いています。果たして、それぞれの部局の職員に環境学習に対する専門的な知識があるのでしょうか。二つ目には、こうしたものこそ、そもそも取り組みを始めた専門性のあるNPOの市民団体と連携し、団体に事業を委託してやるべきではないでしょうか。意図的なNPO外しではないかとの指摘が市民団体から上がっています。 まず、知事には、NPO育成と協力の観点から、この問題をどのように考えておられるのか、お聞きしたいと思います。 また、文化環境部長には、なぜ当初計画としてあった市民団体への事業委託が県の直営となったのか、本当に県の職員だけでうまく運用することができるのかどうか。さらに、県の直営方式は去年九月の答弁やNPO育成のための新しい事業予算案とも矛盾すると思いますが、お答え願います。 続いて、文化環境部自然保護課が行った随意契約の問題について、文化環境部長に引き続きお尋ねします。この随意契約は、去年十月二十九日、自然保護課所管の希少動物・レッドデータブック作成事業に関し、県と高知市の民間の法人格のない任意の団体との間でなされたものです。契約金額は三百六十九万四千円となっています。随意契約によることができる契約の種類と額を定めた高知県の契約規則によりますと、今回のこうした調査などの契約額は上限百万円までとなっています。今回の契約は明らかに契約規則違反であると思いますが、まず部長に、明確にこの点お答えいただきたいと思います。 一問一答でないので、次の点も申し添えておきます。この件に関し、あらかじめ担当の職員にも聞きました。県と契約を交わしたこの民間団体は、県が委嘱した高知県野生動物保護対策検討委員会の委員長が代表者となっている団体で、この団体の役員名や事業実績をただしたところ、私はそうは思いませんが、プライバシーに関するということで、団体の構成メンバーなどは明らかにしてもらえませんでした。また、実績はないとのことでした。 また、契約に当たり、ほかの環境調査団体にも声をかけたかと尋ねますと、かけていないそうです。つまり、ほかには一切呼びかけず、随意契約がなされているのです。契約した唯一の理由は、ここが一番安く契約できると思ったからだそうです。ほかと比較もせず、データも取り寄せず、この団体が一番安いとなぜ言えるのでしょうか。 以上の点から、この契約は随意契約をする上での条件を満たしておらず、違法な契約と言わざるを得ません。通常こうした契約の場合、例えばメダカ号のところでも御紹介しましたが、文化環境部が所管している社団法人のトンボと自然を考える会や高知県生態系保護協会もあることですし、また民間のコンサルタント会社もあるわけで、広く声をかけ、一般競争入札にすべきであります。 この調査と契約は今回の一度だけでなく、三カ年計画で事業が行われるもので、十年度予算案では--来年度予算ですね、六百五十万円余りが計上されています。また、十一年度にはおよそ三百六十万円ほどの予算が必要とされ、合わせて一千四百万円ほどの大きな金額になります。 そこで、部長にあわせてお尋ねします。来年度も、今年度と同じような形でこの任意団体と契約を行うのかどうか、お答え願います。また、この契約当事者でもある知事にも、こうした契約が有効であるのか、どうお考えなのか、お尋ねしたいと思います。 文化環境部が続きますが、先ほどの契約の問題にも深く関係している高知県野生動物保護対策検討委員会についてお尋ねをします。まず、この対策委員会の設置目的は、高知県に生息する野生動物の保護を図るため、絶滅のおそれのある種の分布状況や生息状況を明らかにするとともに、保護のための施策を検討するために設立され、去年九月に活動を始めています。検討委員会は、哺乳類や、トンボなどの昆虫類など六つの分科会に分かれ、委員は知事の委嘱による六人の検討委員で構成されています。さらに、その分科会ごとに文化環境部長の委嘱する二人から五人の分科会委員で構成されています。六人の検討委員の選任は自然保護課が独自の判断で行い、さらに分科会の委員は六人の検討委員の人選で行われています。 まず、この検討委員会の最大の問題は、先ほど指摘しましたように、この検討委員会の委員長が代表している個人的な団体と、県契約規則に違反して県とが随意契約を結んでいる点であります。 さらに、この検討委員会の実態は、哺乳類分科会では、部会長となる検討委員は魚類の専門家であったり、また、絶滅危惧種としては県内で最大級の問題となっていますツキノワグマの調査につきましても、環境庁の委託を受け、三年間調査を行い実績のある公益法人高知県生態系保護協会のメンバーを分科会のメンバーとしても入れておらず、クマに関する専門家はだれも入っていないのが実態となっています。また、昆虫類の分科会でも、トンボの標本種類数や保護活動の実績では全国的に評価もあるトンボと自然を考える会のメンバーも入っておらず、この二つの団体とも委員会への呼びかけすらなかったというのであります。 この二つの団体は、さきにも少し紹介しましたが、いわんや県の文化環境部の所管する公益法人であり、これではこの二つの団体は何のために文化環境部所管の公益法人になっているのかわかりません。また、この二つの団体ともその組織は法律で総会の開催が義務づけられたり、財産、経理の公開、そして役員の経歴登録、定款の変更には知事の許可が要るなど、まさにNPO法で言う公益の非営利の市民団体の資格を取っているのであります。 今回のような動植物の保護対策検討委員会をつくる際は、少なくともこうした調査実績のある団体に委員会の呼びかけや情報交換を行うべきだったと考えます。また、県として今NPOとの連携を模索しているときでもあり、この二つの団体に委員会参加の呼びかけすらしていないというのは全く腑に落ちないのであります。 環境保護行政の進んだドイツでは、自然保護に関する法律の中で、公益法人の資格のある団体には環境保護の各種委員会への参加の機会を権利として保障しているのであり、逆に公益法人の要件を満たしていない団体に対しては、意見表明等の機会を保障していないのです。 以上述べましたように、委員長が深く関与している随意契約の問題点と、委員会及び分科会メンバーの専門性に欠ける構成上の問題点から、さらにもう一つ、この委員会のもう一つの設置目的でもあります保護のための施策を検討する部門には専門家はだれもいないのです。例えば、法律家や環境問題の専門家などを入れるべきであります。こういったさまざまな問題を抱えるこの高知県野生動物保護対策検討委員会は一たん解散させ、グラウンドワーク手法を生かした新しい対策委員会を再構築すべきと考えますが、文化環境部長の答弁を求めたいと思います。 次に、機構改革についてお伺いします。このたびの機構改革の中で、特に工業技術センターなどの八つの試験場が統括的に組織改編されることは、新しい時代に向けた試みと高く評価されると思います。しかし、各研究機関に深くかかわってきた民間の団体からは、情報や説明が十分伝わっておらず、機構的にこれまでのいい点が消されてしまうのではないかといった心配の声が聞かれます。 そこで、機構改革の責任者の総務部長に、この場を通じ広く県民に理解できるよう、今回の試験場の機構改革のねらいを御説明願いたいと思います。 また、研究組織の能力がアップしたり、より機能的になったとしても、意思の疎通が図られなければ十分組織の力は発揮できないことは自明の理です。そこで、農林水産部長にお尋ねします。あなたは本県の重要産業である農業の団体の窓口になっています。これらの団体では、去年の知事の減反発言問題や中国とのショウガの問題、そして技術交流にしても、そして今回の問題にいたしましても、いつも県からの説明は後手後手になっている。今回、農業技術センターは機構的に商工労働部の所管になるが、我々の期待するところが、意思が本当に通じていくのだろうか心配だといった声が聞かれます。これから、農業基本法の改正問題やWTOの再交渉などが迫っている状況の中で、今まで以上に農業団体との意思の疎通を図っていく必要があると思います。農業団体のこうした疑問や心配の声に対する、また機構改革に対する農林水産部長のお考えをお聞きしたいと思います。 続いて、幼児教育について知事、そして教育長にお尋ねをしたいと思います。ここ数年、幼児教育については、改めてその意義と重要性について見直されてきていると思います。特にいじめや不登校、そして神戸での残忍な事件を知るとき、改めて人間の感性や人としての教育について原点から見直そうという動きでもあると思うわけです。 ここでは幼児教育の重要性について触れる時間がありませんが、先日知事は幼児教育を考える会の人たちとお会いし、懇談されたと新聞で知りました。その席で、幼稚園と保育所の垣根を越えた支援と県の窓口の一本化を約束され、後日、機構改革で、健康福祉部の児童家庭課が名称変更で「こども課」となったと理解しています。このことを前提に、以下知事にお尋ねします。 知事のお考えでは、新設されるこども課の機能として、これまで幼稚園の県の窓口となってきた文書学事課と保育所の窓口の児童家庭課をあわせ持つことになると思います。この問題は昔から幼保一体化という考えもありましたが、幼児教育の歴史や理念、そして縦割りの行政等々の問題の中で実現には及んでいませんでした。しかし、このたび文部省の中央教育審議会が出した提言の中で、幼稚園と保育所の教育と小学校教育の連携がより鮮明に打ち出され、教員相互の交流や共同の研修の重要性が指摘され、盛り込まれています。 そこで知事にお尋ねしますが、こども課と教育委員会の連携をどう考えているのか、お聞きしたいと思います。 また、教育長には、これまで幼稚園サイドの要望といたしましては、県の窓口は文書学事課より教育委員会の中に私学課として位置づけてほしいとの声も聞いていましたが、教育委員会としてこども課への対応をどうしていくのか、教育長としてのお考えをお聞かせください。 また、教育長には次の点についてもお答え願いたいと思います。先ほど中央教育審議会の提言を御紹介しましたように、これから幼稚園、保育所、そして小学校の教育との連携や教員相互交流、また共同の研修の必要性がますます問われてきています。しかし、現在高知県は、幼稚園教育の中で、文部省通達に基づいて示されたモデルの新規採用教員研修について、県と幼稚園が協議する場でもある運営協議会が設置されていない数少ない県だったわけです。この際、こども課への対応とともに、こうした運営協議会を開催するべきだと考えますが、教育長の所見をお聞かせ願いたいと思います。 以上で、第一問を終わりたいと思います。 (知事橋本大二郎君登壇) ◎知事(橋本大二郎君) 川田議員の御質問にお答えをいたします。 まず、来年度の農業関係の予算についてお尋ねがございました。来年度の農業分野の予算は、厳しい財政状況の中ではございましたが、県の農業基本計画に基づきまして、園芸農業のさらなる振興を柱に、お話にありました時代に合わせた転換の視点も十分に議論をする中で編成をいたしました。具体的には、生産性の向上の基盤になります圃場整備はもとより、レンタルハウスなども計画どおり必要な予算を計上しております。 一方、時代に合わせた構造転換を図りますには、生産だけでなく、流通対策にも力を入れていく必要がございます。このため、組織面でも流通関係の体制を強化することにしておりますが、事業面でも園芸流通センターへの支援を行いますなど、新たな流通チャンネルの開拓に努めております。 また、今後は農業分野でも環境面への配慮が重要になりますが、中でも臭化メチルの対策は園芸農業の振興にとりまして大きな課題となりますので、段階的な削減に対応しました技術開発を行いますとともに、高知方式のロックウールシステムの導入と普及に努めますなど、環境保全型の農業の推進に力を入れてまいります。 さらに、中山間地域での対策といたしましては、農作業の受委託への支援や棚田保全に向けました取り組みなど、これまでより一歩踏み込んだ施策を取り入れております。また、これまで要望の多かった新規就農者への無保証での融資制度など、思い切った対策も講じております。 以上申し上げましたように、園芸農業の振興を柱に次の時代を見据えた予算を組んでおりますが、御指摘のように、現在進められております農業基本法の見直しやWTOの農業協定の再交渉の時期などが近づいておりますので、今後これらの情報収集に努めながら、基本計画の見直しも視野に入れて適切な対応をしてまいります。 続いて、環境行政についての御質問にお答えをいたします。まず、環境学習用の車を県が直営で運行することについてお尋ねがございました。これからの環境政策にとりましては、単に環境を保全し保護するだけでなく、県民に環境問題への理解や意識を高めていただくための環境学習への取り組みが大切になっております。 このため、来年度は、環境学習に対します庁内の協議会を設けまして、環境学習の進め方を総合的に検討しますとともに、県が行いますこどもエコクラブ体験学習やグラウンドワークなどに活用いたしますため、環境学習用の車を購入することにいたしました。もちろん、こうした事業の実施に当たりましては、県だけでなく市町村や学校、それにNPOに当たる民間団体の方々とも連携をとりながら進めてまいります。 また、この環境学習用の車をそうしたNPOの皆さん方にも積極的に活用していただきたいと考えておりますので、この事業がNPOとの協力という視点で逆行しているとは思いません。 次に、希少動物の調査に関しまして県が締結しました契約の有効性についてお尋ねがございました。この契約は、法令や規則にのっとって適正に行われているとの報告を受けておりますが、詳細につきましては文化環境部長から御答弁をさせます。 続いて、こども課と教育委員会との連携についてお尋ねがございました。私は、幼小児の時期はその子供の人格形成の上で非常に大切な時期だと考えております。この点、これまでは国のいわゆる縦割り制度の中で、県におきましても保育所や私立の幼稚園は知事部局、公立の幼稚園は教育委員会が所管をしておりまして、横のつながりは十分ではございませんでした。そこで、新年度からは子供に関連します窓口を一本化しまして、新設しますこども課で、幼稚園と保育所の垣根を越えた子育て支援や幼小児への対策を進めてまいります。 こうした取り組みを進めてまいりますために、ボランティア体験やスポーツ体験などを含めました教育と子育てのプログラムを広く議論する場を設けますとともに、こども課に教員を配置いたしまして、教育委員会とこども課との連携をとってまいります。さらに、私といたしましては、教育委員会に、保育所や幼稚園と小学校の低学年とを連携を持ってつないでいくような取り組みをぜひお考え願いたいと思います。 私からは、以上でございます。 (森林局長山本忠道君登壇) ◎森林局長(山本忠道君) お答えします。 乾燥材の供給システムについてのお尋ねでございます。消費者ニーズに合った木材製品として、規格が統一され、品質が安定した乾燥材が求められており、そのための供給体制の整備が急がれていることは御指摘のとおりでございます。その意味で、嶺北地域で乾燥材の生産促進に向けた取り組みが行われようとしていることにつきましては、県としても大いに期待をいたしております。 県としましては、これまで補助や融資制度を利用した製材への乾燥機の設置、林野三法を受けての取り組みの一つでございますが、森林所有者、素材生産業者、製材業者の三者の協定による葉つき乾燥材の安定供給のための体制づくり、県の事業では葉つき乾燥材という言い方をしておりますので、葉つき乾燥材を使わせていただきますが、葉つき乾燥材の生産を行うためのマニュアルの作成、原木の含水率や強度の測定を自動的に行うシステムの開発などを進めてまいりました。 しかしながら、葉つき乾燥材、これからちょっとこの言葉が多くなりますので、以下乾燥材と言わせていただきます。乾燥材が一般化しない最大の理由は、乾燥材が乾燥材として市場で評価され、価格に反映されにくいということでございます。背景としましては、原木市場で乾燥材と生材の仕分けがなされていないこともありますが、供給量が少なく取引単位としてのまとまりがないこと、品質的にばらつきがあることから製材段階で乾燥の効果を生かしにくいことが大きな要因とされています。 そのために来年度は、乾燥材を生材と区分しまして、さらに原木を長さ、径級--大きさでございますが、径級、乾燥の度合い別に選別、仕分けを行い、品質表示をして分別販売をする。そして、その市場価格の結果を調査し、さらに製材段階での乾燥の容易さとコストの低減にどれだけの効果があるのかといったことについて調査を行い、乾燥材の有利性を実証したいと考えています。予算額としましては少額ではありますけれども、このことによって森林所有者を初め関係者への利益還元につながることになり、乾燥材の生産の促進と県産材のブランド化を図る上で、今急がれる課題であると考えています。 また、乾燥材の生産を促進するという意味では、来年度新設いたします高齢級材の間伐の助成制度の活用を通じての効果も期待しているものでございます。 なお、御質問の中で、私の昨年の九月議会の答弁についての御指摘がございましたが、乾燥材の生産体制の整備について県として積極的に努力することは当然のことでございますが、九月議会でお答えさせていただいたのは、本年度の事業として行っております原木の含水率の計測等のシステム開発について触れたものであったと記憶、理解しております。 以上でございます。 (文化環境部長兵谷芳康君登壇) ◎文化環境部長(兵谷芳康君) 環境行政についての御質問にお答えいたします。 まず、なぜ環境学習車を使った事業を県の直営としたのか、うまく運用できるのか、さらに九月の答弁等と矛盾しないのかとのお尋ねでございます。今回、予算計上しております環境学習車は、環境学習の重要性にかんがみまして、県みずからがこれから環境学習を進めていくために新たに購入することとしたものでございます。この車を利用しての環境学習についての事業の実施に当たりましては、先ほど知事からもお答えがございましたし、また九月議会におきましてもお答えいたしましたように、県だけでなく、市町村、学校、民間団体等とも連携をしながら進めてまいりますし、またこのほかに、この車をこれらの団体等にも活用していただけますよう、環境学習について設けることといたしております協議会の場においても検討をしてまいります。 次に、希少動物・レッドデータブック作成事業の随意契約が契約規則に違反しているのではないかとのお尋ねでございますが、県が随意契約できる場合は、地方自治法施行令第百六十七条の二第一項の第一号から第七号までに規定をされております。御指摘のございました希少動物分布等調査委託契約につきましては、学術調査・研究を目的としたものであるため同条第二号の「その性質又は目的が競争入札に適しないもの」に該当するため、随意契約を行ったものでございます。 なお、御指摘の契約規則にございます百万円という上限金額は、契約の種類に応じて一定金額までは随意契約を行うことができる旨が規定をされております同条の第一号に関するものでございますので、この契約には適用されるものではございません。したがいまして、この契約については法的に問題はございません。 また、来年度の契約についてお尋ねがございました。この調査は、平成十二年度に発行を予定しております高知県版のレッドデータブック作成のため、本年から三カ年計画で行うものでございます。今回の契約については単年度のものであり、来年度につきましては、委託する業務の内容や分量等も踏まえ、また調査の継続性等にも配慮しながら、委託の目的が十分に達成されるよう検討してまいります。 最後に、高知県野生動物保護対策検討委員会を解散し、再構築すべきではないかとのお尋ねでございますが、高知県野生動物保護対策検討委員会の委員については、動物全般についての広い見識を有すること、また哺乳類、昆虫類など六つの分類群について専門的な知識や調査研究実績を有すること、高知県をフィールドとして調査研究していることなどについて検討をし、最もふさわしいと思う方をそれぞれ分類群ごとに一名を委嘱しておりまして、希少動物の保護を図るため、引き続きお願いをしたいと考えております。 なお、保護制度について今後委員の補充が必要になりますれば、委員会とも協議しながら検討をしてまいります。 以上でございます。 (総務部長高尾和彦君登壇) ◎総務部長(高尾和彦君) 県の試験研究機関に関する機構改革についてお尋ねがございました。 工業技術センターや農業技術センターを初めといたします八つの試験研究機関は、それぞれが地域に密着して、地域住民のニーズに即した課題について研究を行ったり、技術指導や試験などの技術支援を担ってまいりました。しかし、今日の急速な技術革新や県民の方々の多様なニーズに適切にこたえていくためには、これらの試験研究機関がお互いに連携を深めまして、幅広い視点に立って横断的で戦略的な研究開発が推進できる体制を整えることが必要であるという認識のもとに、今回の機構改革を考えたものでございます。 これによりまして、研究職員相互の交流が図られ、またお互いの協力によりましてその資質向上が図られる、結果といたしまして県全体の研究開発能力が高まるということを期待いたしております。 私からは、以上でございます。 (農林水産部長安部望君登壇) ◎農林水産部長(安部望君) 機構改革についてのお尋ねにお答えを申し上げます。 今回の機構改革によりまして、農林水産部の所管する農業技術センター、果樹試験場、山間試験場、茶業試験場、畜産試験場の試験研究機関が、来年度から公設試験研究機関を統括する産業技術委員会へ移管されます。この趣旨、ねらいにつきましては、先ほど総務部長からお答え申し上げましたとおりでございます。 この機構改革によりまして、農業行政の仕組みが大きく変わるのではないかという御心配をいただいたわけでございますが、これまで農林水産部で行っておりました農家、農業団体など現場の意見を十分に反映した研究課題への取り組みや、試験研究機関と普及組織、農業団体とのかかわり方などにつきましてはこれまでと同じでございます。 現在、業務の具体的な取り扱いの細かい点について調整中でございますので、農業団体等への説明が十分できていない面も確かにございます。今後業務の具体的な取り扱いが決定次第、十分な説明を行ってまいりたいと考えております。 いずれにいたしましても、本県農業の振興を図っていくためには、農林水産部の施策や方針と試験研究機関の取り組みが一体的に行われることが必要であると考えております。また、研究成果の普及を初めさまざまな施策を推進していくためには、農業団体との連携は重要でありますので、農業団体との農政に関する懇談の場などを通じまして、これまで以上に意思の疎通に努めてまいります。 以上でございます。 (教育長吉良正人君登壇) ◎教育長(吉良正人君) 幼児教育についての御質問にお答えをいたします。 まず、こども課への対応についてのお尋ねでございます。幼児期の教育は、生涯にわたる人間としての健やかな発達や社会の変化に主体的に対応する力を育てる上でその基礎となるものでありまして、思いやりの心や善悪の判断などを幼いころからはぐくむためにも大変重要なものでございます。 先ほど知事がお答えをしましたとおり、来年度はこども課が設置をされます。教育委員会といたしましても、こども課へ教員を派遣することや、幼稚園、保育所と小学校の連携のあり方を研究するなど、こども課と連携をしながら幼児教育の一層の充実に努めてまいります。 次に、幼稚園新規採用教員研修に関する運営協議会の開催についてのお尋ねでございます。幼稚園新規採用教員の研修が始まりました平成四年度当初には、国あるいは地方自治体、また私立の幼稚園、そして市町村教育委員会、文書学事課などの関係者によります運営協議会を開催しておりました。この会におきまして、研修を円滑に実施するために、研修の内容や方法などを協議いたしまして基本的な方針を決定して、これに基づいて現在まで研修を実施してまいりました。 しかしながら、この研修が始まって五年が経過をし、社会の変化やニーズに応じた研修のあり方についての検討が必要となっております。来年度はこども課も設置をされますので、改めて運営協議会を開催しまして、関係の方々から幅広く御意見をいただきながら、より一層研修内容の充実に努めてまいりたいと考えております。 以上でございます。 (一番川田雅敏君登壇) ◆一番(川田雅敏君) 御答弁いただき、ありがとうございました。 それでは、今の御答弁に基づき、まず森林局長にお尋ねしたいと思います。森林局長から九月の私への答弁について、それはシステム全体の問題だというふうなお答えがありました。それはそれで言葉のあやとしてもわかるんですけれども、私がここで一番言いたいのは、あなたたちは学術調査みたいな調査で済むけれども、現実に住んでいる人たちは自分たちの命がかかって、倒産をしたり閉鎖をしたり困っているわけです。悠長に待っておられるのは県の職員だけじゃないですか。そのことをまず申し添えておきます。 それと、もう一点お答えいただきたいのは、私が最後に提案しましたのに、広域で乾燥材供給ができるような事業をつくりたいと言っているわけですから、それについて支援をするのかどうなのか、ぜひ支援をしていただきたいので、具体的に、支援すると答えてください。 それから、文化環境部長ですけれども、まずメダカ号のところですけれども、知事が進め方については総合的に検討も行いたいと言うので、こういった中で検討をぜひしていただきたいと思います。やはり現在は、知事も言うように費用対効果等含めて、実際県の職員が行って直営でやるということは現実的に無理だと思うのです。 それと、契約の点ですけれども、学術調査を目的にしたものは競争に適しないと言うけれども、調査ができるようないろんな団体があるわけですから、これは随意契約といっても、ほかにそういう調査もしなければならぬと思うんです。僕はかなり疑義があると思うんです。来年度予算六百五十万円計上されてますけれども、この点もこうした指摘がないような、疑義のないような形で契約に取り組んでもらいたいと思います。 学術調査をすると言ったのに、哺乳類の部会長は魚類の専門家ですから、そういう組織にも非常に問題があるわけです、ということを申し添えて、お答えを願いたいと思います。 (森林局長山本忠道君登壇) ◎森林局長(山本忠道君) お答えいたします。 初めの答弁の際にもお答えいたしましたが、嶺北地域の町村におきまして、こういった乾燥材の生産促進に向けました取り組みがなされることについては、大いに御期待しておるところでございます。 ただ、御質問の中でございました市町村活性化総合補助金につきましては、昨日朝比奈議員の質問に対しまして企画部長がお答えしましたように、市町村がみずからの判断と責任のもとに主体的に地域の活性化に取り組む事業を支援する、そして地域の活性化に結びつく効果があるかどうかなどを考慮して判断をするということでございますので、来年度具体的に企画部の方で御判断をいただくということになろうかと思いますので、御理解お願いしたいと思います。 以上でございます。 (文化環境部長兵谷芳康君登壇) ◎文化環境部長(兵谷芳康君) 再質問にお答えいたします。 まず、契約の件でございますが、御指摘の趣旨をよく踏まえまして、適正にとり行えますように今後とも行ってまいります。 それから、哺乳類の専門家の件でございますが、この方につきましてはまさに御指摘のように魚類の専門家でございますが、カモシカ調査委員会の委員、あるいはニホンカワウソの調査員など絶滅が危惧されております高知県の野生動物の調査に携わった方でございます。また、高知市子ども科学館建設検討委員会委員長等も務められておりまして、幅広い見識をお持ちの方と理解をしております。 以上でございます。 (一番川田雅敏君登壇) ◆一番(川田雅敏君) 最後の質問になりますが、森林局長のお答えには大変不満であります。嶺北五カ町村の広域事業の提案が企画部にあったならば、森林局としても積極的に支援をしていきたいと思いますとなぜお答えできないのですか、本当に。企画部任せでは、本当に人ごとのような、そういう態度が現場も実態もわからぬし、人ごとのような政策になっていくんですよ。もっとしゃんとしてください。 終わります。(拍手) ○議長(土森正典君) 暫時休憩いたします。 午前十一時七分休憩--------------------------------------- 午後一時三分開議 ○副議長(元木益樹君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 三十七番森田益子さん。 (三十七番森田益子君登壇) ◆三十七番(森田益子君) 私は、一九九八年三月定例議会におきまして、県民クラブの立場で、知事を初め関係各位に質問をいたしたいと思います。 それに先立ちまして、山本副知事、岡林出納長には多年の間、大変御苦労をかけました。どうもありがとうございました。特に山本副知事は、同対本部長としての大役を非常に困難な中お務めいただきまして、そして最後の置き土産であろう人権尊重の社会づくり条例を御提案していただきましたことは、本当に心からお礼を申し上げます。 振り返ってみますと、私たちの先輩は今から七十六年前、一九二二年に「人の世に熱あれ、人間に光あれ」と、えたに生まれたことを誇りとするという世界にも類を見ない、もちろん日本で人権という組織がつくられたのは、私たちの先輩が七十六年前につくられたのが初めてだと思っています。そして、ことしは世界人権宣言五十年という大きな節目でもございます。私たちが物心ついてしばらく、障害者の人をサーカスの中やら、また夜店の中で、親の因果が子に報いたと言って障害者を見せ物にしておったことも知っております。私は、かなりの年配の方は御記憶に新しいと思います。 しかし、人権を組織的に取り組んだのは私たちの先輩が日本でも初めてだと、私はつくづくその当時の先輩の苦しさ、私は一九二四年に生まれておりますが、その二年前に既にそういう組織をつくられたこと、本当に私が長い間叫び続けてまいりましたように、すべての人間は生まれながらにして自由であり、かつ尊厳と権利について平等であるはずです。しかし、たまたま私が生まれてきた所が、封建時代に身分差別をつけられたえたの子孫として、しかもその集落でも極めて貧乏な女の子としてこの世に生をうけたのでございます。いわば部落差別と貧乏、女に対する差別と、三重もの差別の中で七十三年の間生き抜いてきました。 全国的にも既に大阪、熊本、福岡、鳥取、奈良、三重、四国でもお隣の徳島、香川の八府県では人権に関する条例が制定されております。市町村レベルでも、平成十年二月五日現在で既に五百三十六の市町村で制定を見ております。高知県でも赤岡、中土佐、吉川、十和の町村が既に制定を見ております。今議会におきまして、橋本知事が毅然とした態度でこの条例を提案されましたこと、私たちにとりましたら本当に遅きに失したぐらい、一日千秋の思いできょうの日を待っておりました。 私は先ほど言いましたように、この世に生をうけ、三重の差別を受けながらはかり知れない屈辱の日々を過ごしました。私が十四歳のとき就職した片倉製糸では、物がなくなれば、「この片倉にはえたは二人しかいない」、私は旧姓村上といいましたが、「村上さん、一人はだれそれ、一人はだれかあなた知っていますか」。今思い出しても戦慄を覚えるような屈辱の中でも、部落の子はどこへ行っても辛抱のない子よと言われまいとして、まさに野麦峠で言われます女工哀史のごとく、朝は六時、晩六時までの十二時間の苛酷な労働、それも人並みだと思えば苦しゅうはございませんでした。けれども、盗難事件があるたびに、「この五百人の中にえたは二人しかいない。えた以外に人の物をとる者はいない」と言われたときに、私はそんなことをしておりませんとは言えません。なぜなら、あなたが盗んだと言わない限り、盗人と言うなら手を挙げるわけにはまいりません。そういう屈辱の青春、二年八カ月目に検診で肺結核とせられて、自宅療養を命ぜられました。本当に苛酷な労働も構いませんでしたが、あそこでの日々の私たちに対する差別は、受けた者でなければわからないと思います。 そして、私はこの壇上に立つたびに、その期間から期間に起きた差別事件を皆様方に訴えてきました。私の孫が五年もつき合うた彼女に、やくざにやろうと前科者にやろうと、えたにやる子はないと突きつけられたとき、何もすることのできない私を、本当に私は涙しました。そして、昨年七月、本会議でも申し上げましたように、両家の御両親、当事者六人で城西館で結納の日取りまで決まったものが、つり書きを交換して郡部の地区出身だとわかるや否や、その息子を制するがために、その母親は自殺を図っておりました。幸いにして未遂に終わったからよかったようなものの、部落の血をまじらすことが心でなくて何でしょう。 知事や同対本部長が毅然として、心の中にある差別意識をこそ啓発し教育して、そして地球上のすべての者が平等である社会を築き上げる、この責務は行政にも当然おありだと考えていますし、また国民すべての者に、県民にも課せられた責務だと私は思っています。だから、幼いころより不当なひどい差別を体験する中で、私はいちずに差別のない世の中を求めて、まことに厳しい人生でした。そして、私がこういう運動を始めて四十年たちますが、本当に厳しい条件ではありましたけれども、一歩一歩明るい兆しを展望に持ちながら頑張ってまいりました。 だから、人権条例がつくられる、人権尊重の社会づくりの条例が提出されるということを聞いたとき、心から知事及びこれをここまでしてくださった皆様方に感謝の気持ちでいっぱいでございました。まさかこれが政争の具やら手続の問題やらで反対は絶対あり得ないと皆さんの良心を信じております。どうか同僚各位におかれましては、この私たちの血の叫ぶような、いわば七十六年間叫んできたのが、高知県においても無事可決されますことを心よりお願いをしてやみません。 さて、次に、新年度当初予算についてお尋ねをいたします。実質的には戦後初めてマイナス二・四%となっています。向こう三年で集中的に取り組む県財政構造改革の初年度であるというのです。税収入が歳入の一割程度しかない本県としては、どうしても国からの地方交付税と借金に頼らなければならないのであり、積もり積もった借金残高が六千八百九十八億円に達することも理解されます。県債残高が初めて年間予算規模を上回ったことは憂慮すべきことであります。しかし、こういうのは単に高知県だけではない、日本における構造的な地方自治財源のあり方が問われているものであろうと思います。 ただ、こんなに厳しい借金財政のさなかに、マルク・シャガールの絵画を一億四千八百万円もの大金で買うのは、県民の感情からも反対の声が聞かれます。文化的水準が、知事と県民の中に大きなずれを感じてなりません。また、私たちのように全く文化的水準が低い者にとりますれば、戦後初めてのマイナス予算を組まざるを得ない厳しい時期に、なぜこんな高価な絵画が必要なのか納得しかねます。県民の納得のいくような御説明をいただきたい。人権条例を出してもらって感謝の舌の根も乾かないうちにこんな質問をするのも、今までだれもしないので、文化的水準が低いから私にできたかもわかりませんけれども、お尋ねをいたします。 また、昨年からつぶれることはないと言われた金融機関が相次いで倒産し、金融不安が高まり、その上金融機関の貸し渋りが企業の倒産を招いており、過日も三人の会社経営者が首つり自殺をし、まさに命と引きかえに資金をつくったかのように思われます。また、去る三日にも東京では社長夫妻が金繰りに困って自殺をしたという痛ましい記事も見られました。 NHKの世論調査でも、財政構造改革より景気対策が急を要するという意見が八〇%を超したと報じております。政府におかれましても、大幅な公共事業の前倒しをして景気対策を講じるよう発表されました。そうなると、当然受け皿は必要となってまいります。このような前の見えない不況は、多くの零細な中小企業に深刻な影響を与えることは当然でございます。NHKの世論調査に見られますように、今は県民は財政構造改革より当面は景気対策を望んでいると思います。 来年度予算を見る限り、余り景気浮上の対策は見受けられませんが、去る二十八日にジャカルタで東南アジア諸国連合加盟国の蔵相会議が持たれ、アジアの経済危機への対策が協議されたようです。日本には内需拡大が大きく期待をされたと報ぜられております。このように、国の内外からも経済危機が叫ばれてまいりました。 知事は、財政構造改革の初年度としてソフト重視の予算を組んだようですが、これで県の勢いがつくだろうかと案じてなりません。社会保障が十分に保障されていない不安のあるとき、財布のひもはかたくなります。病気になったときのことを考えたり、老後を迎えたときのことを考え、企業倒産の危機、失業の不安等の心配があるときはさらに財布のひもはかたくなり、購買力は生まれてまいりません。ますます不景気になるという悪循環を繰り返すことになると思われます。 先日の新聞にも消費力は五・九%減じたというように書かれておりますが、減税対策、社会保障、福祉対策が充実して初めて景気対策が生きて、購買力が増大し景気も回復されると思われますが、知事に御意見をお伺いしたいと思います。 次に、教育について。全国的に中学生の非行は大きな社会問題となってまいりました。毎日毎日社会面を見ると、本当に戦慄を覚えるような記事が記載されるようになりました。子供の状態を見れば、その国の政治、教育すべてがわかると言われてまいりました。まさにそのとおりだと言えます。日本を支配した官僚、政治家、財界人の大多数の人は、日本では最高学府と言われる東大を出ているのです。その人たちが今の日本をここまで混乱と腐敗のどん底に陥れたと言っても過言ではございません。東大に入学し、無事卒業して中央官僚になったり、大企業や金融機関に就職できたなら、出世中の出世と世間では喜ばれ、うらやまれてきたのが今日における日本の社会通念でございました。その人たちの相次ぐ不祥事、このような世相は、子供たちには敏感に響いていると言わざるを得ません。 大人の姿を見て子供は育つのです。中学生が刃物を持って教師を殺したり、さまざまな残忍きわまる事件が毎日毎日起きておりますが、私たちはこのようなニュースを聞くたびに、これでいいだろうか、若いお母さんたちも子育てには自信がなくなったと嘆きつぶやいております。子供たちは社会に対し、大人、教師に対して不信を持ち、絶望感を持っているかのように思われてなりません。我が高知県においても、いつこのような事件が起きても不思議のない状態であることは御存じのとおりだと思います。刃物を取り締まるのも一つの手段ではありますが、このような非行を根絶する、根本的に解決することにはならないと思います。 事件が起きるたびに、学校側は何ら問題のない普通の子だったと異口同音に語っておりますが、果たしてそうだろうか。それは、教師や保護者が子供の心理状態を正しくとらまえていただろうか、子供と同じ目線で常に接し、互いに信頼関係が保たれていただろうか、子供の満たされない不満を見過ごしていなかったであろうかと思われてなりません。特に都市部、高知市内における中学校の荒れようは極めて憂慮すべき状態であります。年間五十日以上学校に来ない不登校の児童生徒が、現在公立小学校で八十三名、公立中学校では二百四十二名、さらに学校に来ても教室に入らない、エスケープする児童生徒が百名を超すと聞いております。 先日も、ある市内の荒れ果てている中学校で、ひどい差別落書きがありました。「えた、えた」を数カ所に書き、その一つの文字は何と五十センチだという報告でした。大きな文字が五十センチ。校内の状況から見て、エスケープしている生徒たちだと思われるとのことでした。また、先生が注意をすれば、「えた、えた」が返ってくるとのことです。 私は報告を受けながら、その子たちは朝八時半に学校に来られて、四時半ごろまで七時間余り、一体身の置きどころがあっただろうか、大人でも七時間余りを何もせずに、集団にも入り切れない心理状態の中で、何もせずにいられるだろうか、ましてや子供が、友人は教室で勉強している、その教室に入り切れずにエスケープしている、その子供たちの心情は決して穏やかなものではないと思います。何かいたずらをして教師を困らせてやろうと思うのだろう。学校まで来た子供たちがなぜ教室に入らないのか、一人一人の生徒はそれぞれの不満、悩みがあるはずだ。真剣に家庭と連絡をとって、まず教室に入らない理由を教師は知る必要があると思います。大半は勉強についていけないことが最大の理由のようです。この子供たちにいかに学力をつけるか、また自分を大切に、人間らしく社会で生きる原点を教えていくかが大きな課題であると思います。これは言うにやすし、なかなか難しいことではあります。しかし、日本の将来を本気で考えるなら、避けて通れない重要な課題であります。 差別も、このような社会背景の中では、解決どころか拡大、多発するものであります。差別事件の大半は、不満のあるとき、人を嫌がらせたり困らせたりするときに起きることが多いのです。人間は、満足しているときは余り人を卑下したり差別したりすることは少ないのです。今回の市内の中学校の差別落書き、先生へのえた呼ばわりも、この一つのあらわれだと私は考えます。 報告を聞いた私は、その場で、今の高知市の中学生の集団暴力、集団窃盗事件、不登校問題、エスケープ問題等解決なくして学校での差別事件の解決は望めない、まさに教育現場は非常事態である、県市の教育委員会を挙げてこの対策に取り組まなければ大変なことになると忠告して、帰っていただきました。 過日、それから二、三日たってでございます。投書の中に、「教育の原点は家庭にある。子供の心理状態をつかみ、社会人となるための基本を身につけるよう厳しくしつけることであり、教員も人格を磨き、教育者として自覚を新たにして対応すべきである。大蔵省を初め大企業、政治家の相次ぐ犯罪は目を覆うばかりで、子供に対してその犯罪や非行を注意する資格はない。大人社会の犯罪が子供たちにいかに大きな影響を及ぼすか認識すべきである」という厳しい指摘の投書も見ました。差別をするのも、いじめをするのも、非行に走るのも、大半が勉強についていけなく、自信を失い、自暴自棄になるケースを私たちは知っています。 つい最近でございます。ある市内の保護者から、「児童相談所に送られるようになった。学校側は、もう保護者と話し合う余地はない、通り過ぎた、あとは児童相談所の判断待ちだ」ということでした。私はこれでは教育の敗北であると反発をいたしました。この学校も今大荒れで、お手上げの状態であります。教師の苦労も理解はできます。 四十年の解放運動の中で、私はさまざまな体験をさせていただき、教えられました。高知県でも名をなす、今また大阪でも名をなしている極道の親分が、中学二年のとき、同級生の女生徒に暴行を加えました。しかし、私たちは双方の両親と知人だったがゆえに和解に持ち込みました。しかし、その当時の先生が私にも言いました。「森田さん、物を盗んだならそれを返せばそれで済むが、あなたも女なら、女の大事な貞操を奪って、それで許されますか」と言われたとき、私はそのことはわかるけれども、その人を罪につけることで必ずしもその被害者は救われるだろうかという疑問を投げつけました。けれども、学校側は受け入れを拒否して施設に入れ、少年院に送られました。この人の今日ある人生は、この時点が大きな岐路だったと思います。 確かにその当時は、その学校は県下でも指折りの教育困難校と言われていました。校内では多くの生徒が荒れ狂って、学校のガラスは毎日破られ、教師には暴力を加え、教師たちもきっと身の危険と教育の限界を感じていたと思われます。数人の生徒を少年院に送りました。私たちはそのときも、施設送りは教育の敗北だと言い続け、生徒の環境を変えて、義務教育でまともに教育してほしいと強く教育委員会に迫りました。 その後、また施設送りされようとなった二人の生徒を私たちは必死で守りました。環境を変えることで少年院送りを食いとめました。その二人の生徒は、それ以来人様に迷惑をかける反社会的行動は一度もせずに、現在立派に父親となってよい家庭をつくっています。その反面、少年院に送られました数人の人たちは、ほとんどが極道の道を歩んでいるのです。その教訓は、厳罰主義では人間は変わらない、可能な限り教育で、家庭・社会・学校が心を一つにして子供たちを守っていかねばならないと痛感をいたしました。 このような体験を語り、教育委員会や学校、当事者の親子とも話し合い、もう一度お互いに頑張ることを約束しました。生徒に私は、「僕、なぜ教室に入らないの」と尋ねたところ、「勉強がわからん」。さらに、「五十人もあんたところの学校には先生がおるろう。だれかあんたと気持ちの合う信頼できる教師はいなかったの」。「一人だけおる」。五十人の中で一人だけしかいない。そして聞くと、「管理職の先生はほとんど僕らには声をかけてくれない」と言われました。 私の地元の朝倉中学校も、一昨年は不登校、エスケープをする生徒、集団窃盗、暴力と、手のつけようがありませんでした。私たち保護者も真剣に悩みました。地元での話し合い、教育委員会への陳情等を続け、教頭二人制にしてほしい、何とかクラスに二人の複数担任制をできるような増員をしてほしいと要請をいたしまして、おかげさまでたった一年足らずですっかり学校が変わりました。 私は孫が中学校二年なので毎年運動会を見に行きますが、三年生の百メートル競走を見れば非常にわかります。一昨年までは二、三割の生徒が、へらへら笑いながら観客の保護者をあざけるように歩いて、まともに走ろうとしませんでした。けれども、今年はすべての子供が懸命に走っている姿を見ました。そして、学校の運動会のときに校門の外で屋台を、お店を出している人がおりますが、毎年何かを壊されている。前日の夜から屋台を出すが、何かを壊されているが、今年は全然壊されていない。どうしたことだろう、えらい落ち着いたがとささやかれるようになりました。私は、教育行政者が十分反省し、根本的な責任ある対応を考え、教師が本気で生徒に当たれば、必ず生徒が変わり、保護者の協力も芽生えることを教えられました。絶対的な解決の柱は、教師は生徒に信頼されることであろうと思います。 義務教育で基礎学力が身につかないこと、こんなことが最大の原因となっておることを思い、教育長にお尋ねをいたしますが、郡部では、子供の減少によりほとんどが四十人の学級定数を割っていると思われますが、どうか。問題の集団暴力、集団窃盗、不登校、エスケープする子供の大半が高知市内に集中しているようですが、過疎地域については特別の対策があるようです。都市部における特別対策を講ずる必要があると考えられるが、教育長はどのように思われるのか。このままだと県外で起きているような最悪の事態が起きかねないと憂慮されるが、どう思われるか。朝倉中学校がわずか一年でこれだけ落ち着いたことを教訓に、市内の問題ある学校に教頭二人を置くなど特別の対策を講じるおつもりはないのか、重ねてお伺いをしたいと思います。 当然教師の増員ともなればお金も要ります。教育改革を進めるためにということで、当初予算では五十人を超える教師の増員を図ったように伺いましたが、これで高知市等問題校に対して加配をしたり、特別の対策をするお考えがあるのか、改めてお尋ねをいたしたいと思います。 また、高知大学大学院への教員派遣についてでございます。教員の資質を高めることは本県の緊急な課題であり、高知大学教育学部への派遣についていろいろ感心しない声も聞かされまして、平成六年にも問題を指摘いたしましたが、来年度もまた五名の派遣が予定されているようでございます。一昨日も依光議員から質問されましたので重複は避けますが、派遣については慎重な調査の上執行していただきたいと思います。 次に、福祉対策と人権についてでございますが、我が国では少子高齢化が急ピッチに進み、老後の不安が募ってまいりました。人生わずか五十年と嘆いたのはつい最近で、戦争により若い命を失ったり病気で短命だったり、乳児の死亡率が高かったりしたのが、平和が続き医療技術も高まり、社会保障の充実等相まって、平均寿命も大幅に延びました。高知県でも男七十六・一八歳、女は八十三歳余りまでという長寿の時代が参りました。 人間にとって長生きをすることはみんなの夢でしたし、喜ばしいことです。しかし、今のような社会保障の後退、医療費負担の増額、また寝たきり、痴呆の心配等、長生きが何となく家族の負担になったり、不安がつきまといます。ぽっくり死にたいと神様参りに願をかける人すらあるということを聞いて、何と寂しい時代が来ただろう。私も七十三という高齢を迎えたとき、しみじみ我がことのようにこの行く末の老後が案じられてなりません。 戦前・戦中とあの生活の苦しい物資のない時代を生き抜いて、やっと老人医療の適用で医療費も要らず安心して老後は医療も受けられるようになったというのもつかの間、医療費負担は増額し、今までのように医者にかかれなくなったと嘆くお年寄りの声が多く聞かれます。まさに世界一の経済大国を築いたのは、今の高齢者であります。さらに、毎日のように、高齢者比率が高まったので社会保険、社会保障の見直しが必要だと、こんなことを報ぜられると、長生きしたのが何か肩身が狭い思いのようになりました。 一方では、埼玉県で見られましたように、彩グループが厚生省の高官と結託して福祉を食い物にするということを以前にも指摘いたしましたが、非常に悲しい世相です。今回の金融安定化のためにという理由で十兆円の国債を発行し、金融機関に対して公的資金の投入をするかのようでございますが、自民党内部でもこのことについてはさまざまの反対御意見も出されているようでございます。 私は何はともあれ今申し上げたいのは、高知県におきましても、まさに身体障害者施設国府寮の入所者の大けがが相次ぐという大きな事件。家族の方は、「障害者ではなく、一人の人間として扱ってほしい。私たちは預かってもらっているという負い目があって、言いたいことは控え目にしてきたが、もう我慢ができない」と県の強い指導に期待をかけましたが、手ぬるいので失望し、ついに業務上過失傷害で県警に訴えたということを御家族から聞かされました。県として、調査の結果はどうか、どんな指導をしたのか。入所者からは、養護員の資質の向上、医療の問題、それから設備の改善、食事の改善等四点において要求が出されておりますが、どの程度までに改善されたのか、お尋ねをいたします。 また次に、連日高知新聞や各新聞で指摘をされておりますように、日高村における視覚障害者の老人ホームにおける運営及び飲料水の問題であります。私たちは記事を見る限り、本当に義憤を感じてなりません。このような施設を開設するには、当然私は施設側は水質の調査をして申請が来ておるものと思いますし、また県も認可に当たっては当然それを点検したかと思いますけれども、問題をどのように扱っておられたか、お尋ねをいたします。責任ある御答弁を願いたい。 施設長は、県外で長年にわたってこのような施設の運営に携わってきたと言われる方でありますが、記事を見る限り、電気をつければ「もったいない。電気を消せ。盲人には電気は必要ない」、こんなことを本当に言ったのか。私は、福祉施設の責任者としては全く不適当な人ではなかろうかとさえ思いました。「ここにいる人は盲人。電気を使うのは職員だけです。節電は大切なこと。やっぱりエネルギー問題を考えなければ」と反省のかけらもないような、開き直りとしか思えないような記事も出されておりました。そして、その実態についてつまびらかに御報告を願いたい。どんな指導をされたか、お尋ねをいたします。 時間がございませんので要約しますが、介護保険法について。介護保険法についてはさまざまな問題点があるように思われます。まず第一番に、介護認定のばらつきが心配をされます。個人負担について上限は決められたとしても、低所得の高齢者など弱者の負担は上限の半分になるようですが、わずかな年金生活者にとってみれば大変だと考えられますが、どのように認識しておられるのか。また、介護の認定から漏れた人が必ずいると思います。ヘルパーの援助がこれからも必要な層があると思われるが、その人たちの対策をどのように考えられているのか、お尋ねをいたします。 最後に、時間もございませんので、走る走るお尋ねをいたしますが、今のような不況になりますと、非常に雇用の対策が問題となってきます。金融機関の貸し渋りが中小零細企業の倒産を生み、そしてさまざまの問題を醸し出してまいります。今回の事件で見落としてはならないのは、大蔵官僚があのような癒着の中で大金融企業には便宜を図ってきた、そのしわ寄せがさまざまの形で零細企業等に押し寄せられております。山口孝明治大学の教授--会計学者は、「大蔵省に癒着した監査体制、会計制度を変えないと、日本は海外からの信頼を失うことになる」と指摘をされています。大蔵省の責任は重大であります。その責任を国民大衆に押しつけようとしておりますが、義憤を感じてなりません。 そして、一月では三・五%の完全失業率を出すに至りました。そして完全失業者は、前年度の同時期より十六万人もふえて、二百三十八万人となっているように聞きます。求人倍率は〇・六七になりました。高知県のようなところではまたひどく、求人倍率〇・四四となってまいりましたし、高知職安管内ではさらに〇・三二というように、非常に求人倍率も下がりました。 このような不況の中では、同和地区やら母子家庭、それから障害者等、社会的に非常に弱い者については風当たりが強くなりますが、私たちが一生懸命政府とも交渉しました統一応募書類制定の趣旨を十分に踏まえて、公正採用選考人権啓発推進員の制度を徹底させて効果の上がるものにしていただきたいと思いますが、この点もあわせて具体的な施策がおありになりましたらお尋ねをいたします。 時間切れになりました。 ○副議長(元木益樹君) 森田議員に申し上げます。 議会運営委員会における申し合わせ時間を超過いたしましたので、議会運営に御協力を願います。 ◆三十七番(森田益子君) どうもありがとうございました。(拍手) (知事橋本大二郎君登壇)
    ◎知事(橋本大二郎君) 森田議員の御質問にお答えをいたします。 まず、シャガールの絵画の購入についてお尋ねがございました。県立美術館は「南の人と自然」を収集のテーマにしておりますが、その中でもマルク・シャガールの作品を中心に置いております。しかし、シャガールの作品は、求めるようなものがいつでも市場に出回るものではございませんので、いい作品が出たときに購入できますよう、これまで文化基金に積み立てをしておりました。また、この積み立てにつきましては、平成五年の二月議会で御承認をいただいております。 今回は、美術館でかねてから探しておりました一九〇〇年代の作品でございます「村の祭り」が手に入ることになりましたので、先ほど申し上げました基金を使って購入することにいたしました。これによりまして、現在収蔵しております四点の油絵と合わせまして、シャガールの全盛期の作風の変遷がたどれるようになります。 確かに県民の皆様の中には、この財政状況の厳しい時期にこうした作品を購入するのはぜいたくだと思われる方もおられるかもしれませんが、本物の芸術に触れる文化的なゆとりを持つことも大切だと思いますし、こうした絵画はかけがえのない県民の財産にもなってまいります。これによりまして、一千点を超えます版画のコレクションと合わせまして、名実ともに世界最大級のシャガールのコレクションになりますので、今後とも皆様に愛される「シャガールのある美術館」といたしまして、県民文化の振興はもとより、全国に向けて情報発信をすることができると考えております。 続いて、社会保障や福祉対策の充実と景気対策との関係についてお尋ねがございました。社会保障や福祉対策が景気対策に直接かかわりがあるかどうかはさまざまな御議論があろうかと思いますが、いつ、いかなるときでも福祉対策は重要な課題でございます。特に、高齢化が進みます反面、子供の数が減ってきております現在、高齢者も子供も生き生きと安心して暮らすことができる地域社会をつくっていきますことが、これからの本県の重要な課題でございます。このため来年度の予算では、財政構造改革を単なる量的な削減に終わらせず、質的な転換につなげたいという思いでその編成に取り組んでまいりました。特に、こうした時期に影響を受けやすい弱い立場の方々に配慮をした施策など、一定の対応はできたと考えております。 その一方で、高齢者を単に福祉の対象としてとらえるのではなく、長寿という人類が長く追い求めてきた夢が実現した結果としての高齢社会を積極的に評価しました上で、元気な高齢者を生産者や働き手として、また消費者として見直すことによりまして、その自立と社会参加のシステムをつくり上げていくことも、また大切な視点ではないかと思っております。 私からは、以上でございます。 (教育長吉良正人君登壇) ◎教育長(吉良正人君) 教育問題の一連の御質問にお答えをいたします。 まず、郡部では四十人の学級定数を割っているのではないかとのお尋ねでございます。平成九年五月一日現在、本県の一学級当たりの児童生徒数は、高知市では小学校で約三十三人、中学校で約三十六人、高知市以外では小学校で約二十人、中学校で二十七人となっております。高知市では一部の学校を除き、ほとんどの学級で四十人近い児童生徒数となっております。 次に、生徒の問題行動が都市部の学校に集中していることや、それに対する特別対策の必要性などの御質問に一括してお答えをさせていただきます。まず、最近の子供の一連の事件は憂慮すべき問題と認識をいたしております。本県におきましても、都市部の学校を中心に、生徒の問題行動や不登校、あるいはエスケープをする生徒などが増加をする傾向にあります。 次に、御質問の中にもありましたように、校長のリーダーシップのもと、複数の教頭の配置などによりまして組織的な学校運営が可能になったこと、また、教職員はもとより、保護者や地域の方々の協力を得まして、学校が落ち着きを取り戻した成功例もございます。こうした事例は、教育改革の一環として進めております開かれた学校づくりの中でも生かしてまいりたいと考えています。 さらに、特別対策をする必要があるのではとのお尋ねでございますが、これまでも都市部の大規模校を中心に課題の多い学校におきましては、チームティーチングや生徒指導、また不登校など学校の実情に応じまして教員の加配や教頭の複数配置を行っております。こうしたことは学校経営上有効であると考えますので、今後とも地元の教育委員会と協議をしながら必要な対応をしてまいります。 最後に、教育改革に関する教員の採用などについてのお尋ねがございました。本県では、現在子供たちが主人公、子供たちのための教育といったことを基本に、基礎学力の定着、教員の資質・指導力の向上、あるいは学校・家庭・地域の連携による地域ぐるみの教育、こういったものを柱に教育改革を進めております。こうした教育改革の推進は、本県のさまざまな教育課題の解決を目指すものでございまして、このため計画的に教員の採用を行っております。今後におきましても、二十一世紀をたくましく生き抜いていく夢と希望のある子供たちを育てていくため、教育改革を全力で推進してまいりたいと考えております。 以上でございます。 (健康福祉部長山崎淳一君登壇) ◎健康福祉部長(山崎淳一君) 森田議員の御質問にお答えをいたします。 まず、国府寮の調査結果と指導についてのお尋ねでございます。県において調査を行いましたところ、入所者のけがにつきましては介護における事故の可能性が大きい事例があったこと、また日常の入所者のニーズへの対応が十分でなかったこと、あるいは事故が起きた際の家族への対応に適切さを欠いていたこと、さらに事故の原因の分析と再発防止の対策が十分でなかったことなどが認められました。こうしたことの背景には、施設における職員の指導体制や入所者の処遇にかかわる職員間の連携、また職員の資質向上への取り組みが十分でなかったということがございます。 このため、昨年十二月に文書で改善の指導を行いますとともに、改善計画書の提出を求めたところでございます。指導を行いました主な内容といたしましては、事故の防止対策と家族への連絡体制の確立、また施設内の連携や職員の資質の向上、あるいは日常生活の援助の見直しと処遇向上のための検討の場の設置、さらに施設運営の適正化を図るための第三者機関の設置などがございます。 次に、県の指導によりどこまで改善されたのかというお尋ねでございます。国府寮がこれまでに改善をしてきました内容といたしましては、事故防止マニュアルの作成と家族への連絡体制の確立、また職員間の連携を図るための連絡会議の開催、あるいは入所者とのコミュニケーションの確保、さらに入所者や家族、職員による日常生活向上委員会の設置などがございます。また、設備の改善につきましては、入所者の意見を聞きながら取り組むこととしておりますし、入所者の人権擁護と施設運営の適正化を目的とする第三者機関につきましても、近く発足させるように聞いております。 こうした取り組みによりまして、職員の意識にも変化が見られ、また職員間の連携もよくなるなど改善が進みつつあると受けとめておりますが、今後におきましても、改善計画書に沿った取り組みが着実に行われ、入所者の人権に配慮した適切な処遇が確保されるよう指導してまいります。 次に、日高村の老人ホームにつきまして、県は認可の際、飲料水の問題をどう取り扱ったかというお尋ねがございました。養護老人ホームの開設の認可に当たりましては、飲料水の水質の検査が厚生省令で定められた届け出事項に入っていなかったことから、これまでは水質の検査結果について確認を行っていなかったところでございます。しかしながら、今回の問題では、設置者に求められている水質検査がなされていなかったのは事実でございますので、今後は、施設の認可に当たりましては、水質の検査結果を確認することにいたします。 次に、新聞の記事による発言、あるいは腹痛、下痢の訴えが相次ぐということについてのお尋ねでございます。二月二十七日、施設関係者などからの聞き取りとケース記録や看護日誌などの関係書類につきまして調査を行いました。その結果、お話にありました施設長の発言などにつきましては、直接的には言われているようなことはなかったようでございますが、いずれにいたしましても、このような記事が出ること自体、私としては非常に残念に思います。 また、腹痛、下痢の訴えなどにつきましては、水が原因かどうかはわかりませんが、ケース記録や看護日誌などの記録によりますと、開設以降全く訴えがない月もありますが、多い月で三名の方に腹痛などの事例がありました。また、嘱託医からの事情聴取では、飲用水を原因とする下痢、腹痛での診察事例はないとのことであり、こうしたことから相次ぐということが言えるかどうか疑問でございます。 次に、施設運営の実態についてのお尋ねでございます。施設の運営につきましては、経営面では開設後間もないこと、また処遇面では先ほど申し上げましたように水質管理の問題など、運営面での厳しいものがあるのではないかと思いますが、目の不自由な方の施設という性格から、入所者を大切にする姿勢が何よりも大事と考えております。このため、今後におきましてもそういった観点から指導を行ってまいります。 次に、介護保険についてのうち、要介護認定のばらつきについてのお尋ねでございます。要介護認定の基準につきましては、国において全国一律に定めることとなっております。この要介護認定につきましては、公平で客観的な調査や審査会の判定が公平・公正なものとなることなどが必要でございます。このため、来年度すべての市町村で実施されますモデル事業を通じまして、調査員の研修や審査会の共同設置の検討など、必要となる体制の整備を支援してまいります。 次に、低所得者の保険料負担についてのお尋ねでございます。お話のように、六十五歳以上の第一号被保険者のうち、低所得の方の保険料につきましては基準額の二分の一程度と言われております。なお、生活保護制度におきましては、新たに保険料に相当する額が加算されることとなっております。確かに、資産も少なく、わずかな年金で生活をしておられる高齢者にとりましては影響が大きいと思います。このため県といたしましては、これまで低所得者に十分配慮した制度となるよう国に要望してまいりましたが、今後におきましても引き続き要望をしてまいります。 最後に、介護認定から漏れる方で、ヘルプサービスが必要な高齢者の対策についてのお尋ねでございます。ホームヘルパーの援助が必要な方につきましては、基本的には介護保険の給付がなされるものと考えておりますが、ただ、現行のホームヘルプサービスを受けておられる方の中で、認定を受けられない方が生ずるおそれがございます。こうした方々につきましては、市町村社会福祉協議会が従来から取り組んでおります見守りネットワーク事業など、地域住民のボランティア活動を主体とした社会的なシステムづくりによって支えてまいりたいと考えております。 以上でございます。 (商工労働部長川村龍象君登壇) ◎商工労働部長(川村龍象君) 不況に伴う雇用対策についての御質問にお答え申し上げます。 社会的弱者に対しまして、具体的にどのような施策を考えているかという御質問でございます。厳しい雇用情勢が続きます中で、同和地区住民や母子家庭、障害者等の方々に対しましては、公共職業安定所におきましてきめ細かな職業相談を行ってきているところでございます。さらに、それぞれ同和相談員、寡婦相談員、障害者相談員を活用いたしまして援助及び指導を行いますとともに、各種援護措置を活用して雇用の促進と職業の安定に努めてまいります。 また、事業主に対しましては、企業内に設けてもらっております公正採用選考人権啓発推進員という制度がございますが、この推進員に対します研修会や求人事業所説明会等を通じまして、就職の機会均等の確保が図られますよう啓発指導を行ってまいります。 以上でございます。 ○副議長(元木益樹君) 暫時休憩いたします。 午後二時六分休憩--------------------------------------- 午後二時三十三分開議 ○議長(土森正典君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 三十二番牧義信君。 (三十二番牧義信君登壇) ◆三十二番(牧義信君) 私は、日本共産党の立場から、知事並びに執行部に質問いたしたいと思います。 まず、知事に、高知県財政の運営についてでありますが、さまざまな議論がありましたので、二点だけ伺っておきます。先日の答弁で、知事は今後予想される国の大型補正への対応として、「県財政や県民生活、将来の財政運営に与える影響などを慎重に見きわめながら、総合的に判断する」と述べられました。バブル崩壊後の県債発行額が、九一年度に三百六十六億円、そこからピークの九六年度の九百二十二億円へと、わずか五年間で三倍近く伸びております。その要因の最大のものは、経済対策という名の公共事業への特例債発行でありまして、これが何と五倍近くになっているのであります。 高知県では、九二年度の九月と十二月補正で五百三十五億円、九三年度には六月、九月、十二月、三月と毎議会での補正で七百九十六億円、九五年度には六月、九月補正で五百二十六億円、九六年度の緊急防災対策を含めた経済対策への補正の対応は、何と合計で九回、総額では二千二十五億円にも上っているのであります。これに伴う県債の発行は、充当率が一〇〇%とされたこともあって急激にふえまして、総額で六百八億円にも上り、これが県財政にとって、私が決算の討論で申し上げた、近い将来破裂が予想される時限爆弾になったことは明らかであります。 これまでの経済対策としての大型補正が景気浮揚に効果がなかったばかりか、残ったのは膨大な財政赤字だった。この教訓を生かすとすれば、今後の大型補正に慎重に対応するのは当然であると思います。 そこで伺いますが、今回の財政構造改革の中では、単独事業の見直しと比べて、投資的経費のうちで、国直轄事業負担金も含めた国庫補助事業については見直しが不十分なように思うのであります。今後の大型補正については、例えば国直轄事業も含めた国庫補助事業などについても、県としての判断で一部返上されるくらいの決意で対応するおつもりはあるか、お答えをいただきたいと思います。 もう一点は、歳出の削減に大きな効果をもたらす繰り上げ償還についてであります。先日の答弁で、努力は続けるけれども相手があって難しいとのことでありますが、過去二回、四十億円余りの繰り上げ償還については、いずれも財政構造改革に取り組む以前の九四年、九五年度でありました。今、知事が、県民に痛みを伴うとまで述べて歳出の削減に取り組んだ。補助金、交付金の見直しでは、団体補助金以外で四十四事業の廃止、六十一事業の縮減でやっと三億円であります。一方では、たった二回の繰り上げ償還による金利負担軽減額は八億五千六百万にもなっております。県民に対してはスズメの涙の補助金まで削り、今県民の暮らしが限界にまで来ている折、また県も財政構造改革に汗を流しているときであります。 庶民はこの間低金利で泣かされてまいりまして、この六年間で、家計に入るべき金利二十九兆円が消え去り、そのうち約十六兆円が銀行の利益に転嫁されたと言われております。庶民への超低金利が押しつけられておりました九四年当時の四国銀行への県債の金利条件というのは、最高で四・九八%でありまして、庶民の感覚としては異常に高いと思われます。 このたび、三十兆円のうちで十三兆円が銀行の体力増強のために投入されているときでありまして、今銀行の果たす社会的責任と役割の大きさから見て、県として改めて強い姿勢と決意で繰り上げ償還を要請すべきと考えますが、知事の御所見を伺いたいと思います。 次に、財政構造改革に関連して、公共事業依存型の高知県の産業構造の転換について知事に伺いたいと思います。県内の市町村は財政力が弱く、国や県の公共工事などの公経済に依存をし、九四年の市町村経済統計によれば、二十九市町村で全産業に占める建設業の構成比が第一位となっていることは御承知のとおりであります。依然としておくれている産業や生活基盤を整備する必要がある高知県の実情から見ますと、傾斜配分などによる高知県への生活密着型の公共投資の強化は、今後とも求められることは言うまでもないと思います。 ただ、私は、過疎・高齢化の進行する高知県にとって、公共事業一辺倒ではなく、社会保障や福祉の持つ経済効果、生産や雇用の拡大効果について、新たな視点からの位置づけを行うことが重要になっていると考えるものであります。従来、日本の経済発展、景気対策といえば公共事業が最優先され、その結果はゼネコン向けの大規模プロジェクトが中心で、膨大なむだや浪費を生み出す一方で、生活密着型公共事業は後景に押しやられてきたと思います。片や社会保障といえば、あたかも経済発展の否定的、阻害要因として扱われ、政府の財政構造改革でも、いかに政府支出をこの分野で減らすかが論じられているのであります。 政府が財政構造改革の前提とした九六年の経済審議会の報告では、今から十七年も前の経済審議会の報告を財政構造改革の基準とするとされております。このときの報告「社会保障と経済活動」では、「社会保障施策が経済活動にマイナスの効果がある」、こういうようにしておりまして、さらに「年金制度の充実に伴い老後の所得が保障されるため、貯蓄の額を減少させる」などと述べております。しかし、今、政府の消費税増税や社会保障の切り捨てによる将来不安によって国民の貯蓄率が高まり、深刻な不況からの脱出の道をかえって遠ざけていると言われているのであります。社会と経済の激変に対応して、今、発想を大転換すべきときではないかと思います。 この点で、九六年の三月に、慶應義塾大学とライフデザイン研究所が作成をした「価値を創る福祉」という報告書は、極めて興味深いものと思います。ここでは、新ゴールドプランの整備と運営による生産誘発額を産業連関表に基づいて定量的に推計いたしておりまして、同額の公共事業の効果と比較をしております。その結果、最終生産誘発額で、新ゴールドプランが二十九兆九千三百億円、公共事業が三十二兆二千五百億円で、その効果というのは接近をしておりまして、さらに粗付加価値誘発額では、新ゴールドプランの方が公共事業の効果を上回ると計算をされております。 この報告書は、結論で次のように述べております。「公共事業のみが景気調整の手段として用いられてきた理由としては、生産誘発効果が高く、内需拡大に直結する、事業規模を経済情勢に応じて調整し易い、建設公債を財源としうるため財源調達が比較的容易である等々があげられる。しかし、近年、これらの前提は崩れてきている。これまでの土木中心の公共事業では、もはや生産誘発効果は大きくないことは常識化しつつある。今回行った推計からも、福祉サービスが中心の新ゴールドプランと比較しても生産誘発効果にあまり大きな差はなく、最終的な経済効果であるGDP寄与度は、むしろ小さいぐらいであることが明らかになっている」。さらに報告書は、「財源面でみても、建設公債を別扱いするならば、赤字公債よりはましという判断から公共事業のみが容易に拡大され、財源配分が歪む恐れすらある」というふうにしているのであります。 この産業連関表に基づいて、全国では大阪府、新潟県、茨城県などで試算をした結果を見ましても、GDP効果は社会保障が公共事業部門を大きく上回り、特に、雇用者の誘発数においては社会保障が建設の一・五倍に上り、特に女性の雇用増につながるとされております。 以上の点を前提にして知事に伺いますが、高齢化、過疎化の進む本県にとっては、福祉の後退を許さず、社会保障を充実させることが、その経済波及効果においても、県内産業の構造転換においても大変重要になっていると考えますが、この点どうでしょうか。 また、高知県の産業連関表に基づいて県独自に試算を行い、県民に公表するとともに、公共事業偏重型の財政や県民の認識を変えるために活用されてはどうかと思いますが、御所見を伺いたいと思います。 次に、今議会に提出されております改正情報公開条例について、私の見解も述べながら、何点か伺いたいと思います。今回の条例改正の前進面は、知る権利の明記、請求権者の拡大、公開する公文書について決裁の手続が終了していないものまで含めたことや、コピー代の値下げなどでありまして、基本的には、県民から批判の強かった旧の情報公開条例の問題点を改善した内容として評価ができると考えております。 しかし、この評価を覆しかねない今回改正の最大の問題点は、この条例の附則の中に、「この条例による改正後の高知県情報公開条例第六条の規定は、この条例の施行の日以後に作成し、又は取得した公文書について適用し、同日前に作成し、又は取得した公文書については、なお従前の例による。」とした経過措置が盛り込まれたことであります。 この六条とは、その二号のハで個人情報から除外をされて、公務員や法人の氏名や職名が公開されることになっているわけでありますが、このことこそが今回の改正の核心をなすものであると思います。一条には県民の知る権利を明記しながら、一方では十月一日を境にするなどというのは、知る権利に対する侵害そのものだと思います。一般に、法律や条例は及されないことは承知をいたしております。しかし、それは遡及されることによって国民の権利が侵害される場合でありまして、こと情報公開に関しては、遡及によってこそ県民の知る権利が保障されるものと考えます。 この点は知事に伺いますが、なぜこのような経過措置をとったのか、御答弁いただきたいと思います。 次に、改正条例の個々の内容についてでありますが、この点は全国の都道府県の中では先進的なものと言えると思います。しかし、この情報公開については、全国の市レベルでの議論、到達点に照らしてみますと、さまざまな不十分さや問題点が目立つと思うのでありまして、以下総務部長に何点か伺いたいと思います。 第一に、県民の知る権利を保障するということは、県は県民に対して説明をする責任を負うことであります。住民に知る権利を保障し、行政には説明責任を課すことによって初めて県民参加の実現を図るということができるわけでありまして、これは三位一体の構成になると思います。今改正には県の説明責任はどこにも書かれてはおりません。この点をどうお考えなのか。 第二には、個人情報についてであります。さきに述べた第六条の除外規定の中で、公社等の法人や、県から補助金、交付金の交付を受けている公益法人の役員の職名や氏名が公開されることは一歩前進であります。しかし、基本的な考え方としては、プライバシー保護型を採用せずに、個人識別型がとられております。本来、原則公開とするならば、例外としてプライバシーはちゃんと守るというのが最近の条例では当たり前になりつつあります。個人識別型では、判断が容易になる反面、個人情報は原則非公開とされ、公開の範囲は狭く限定する仕組みになってしまいます。なぜプライバシー保護型を今回とらなかったのか、伺っておきます。 第三に、公開の対象についてであります。一つは公社の問題でありますが、第十七条において「公社等」というのがありまして、「公社等は、自ら積極的な情報公開に努めなければならない」と書き込まれたことは一定評価ができます。しかし、これをよく読んでみますと、この「公社等」を規定した、定義した第六条では、地方自治法施行令第百五十二条第一項に規定する法人、つまり地方公共団体の長が調査できる法人というふうにされておりまして、公社でいえば二分の一以上出資に限定をされているのであります。この条例の中に出てくる地方自治法施行令第百四十条の七第一項に規定された監査委員の監査対象となる、つまり四分の一以上二分の一未満の出資の公社は除外をされているのであります。 調べてみますと、県の出資比率が四分の一以上二分の一未満のものは二十八を数えまして、その中には日高村への産廃施設建設を進めるエコサイクル高知、また、先日も議論された、経営困難が指摘をされているグリーンピア土佐横浪などがありまして、これらは除外をされることになります。バブル崩壊後、行政の不良債権と呼ばれ、結果として県民に負担をもたらすような法人や、県民の安全にかかわる法人については、十七条で言うところの積極的な情報公開に努めるべきという範囲に含めるべきだと考えますが、御所見を伺います。 公開対象の二つ目は、一部事務組合の取り扱いであります。懇話会の提言では、自主的に情報公開に努めるよう働きかけることとされておりますが、今回改正条例案の中に何にも位置づけはされておりません。一部事務組合は、自治法上は特別地方公共団体でありますので、条例の中に公開対象として持ち込むことには意見があろうかと思います。しかし、十七条の「公社等」のところに、一部事務組合への要請として入れても問題はないと思います。この点をどのようにお考えになったのか。 また、来年度は、多くの市民の反対を押し切って県立中央病院と高知市民病院統合の一部事務組合が設立されるわけでありますが、県民の関心の高いこの一部事務組合の情報公開にはどのような態度で臨むおつもりか、伺っておきます。 第四に、今回の改正で削除された合議制機関等の会議に係る情報についてであります。この合議制機関等には各種審議会が含まれると思います。この部分が削除されたということは、改正条例の原則公開の趣旨に照らして、個々に内容に沿って判断すると理解してよいのか、お答えいただきたいと思います。 現在、高知県におかれた法令や条例に基づく審議会、また要綱その他による懇話会などは、合計で百三十六機関にも上ります。行政の政策決定に深く関与している審議会は、とかく行政の隠れみのというふうにも言われているわけであります。そこで御紹介したいのは、兵庫県の川西市では、公文書公開制度の整備とあわせて、会議公開制度を情報公開制度の柱の一つとして位置づけておりまして、会議の事前周知や会議の傍聴、会議録の公開などについて定めた会議公開に係る基本方針を決定し、この一月から実施をいたしております。 高知県としても、開かれた県政を推進するために、情報公開条例改正を契機にこうした会議公開制度を検討するおつもりはないか、伺いたいと思います。 第五に、新たな情報公開条例は、解釈などの今後の運用によっては、その真価が問われる側面を多分に含んでいると思います。運用面での方針となる手引を県は作成しておりますが、この手引も大きく改正する必要があろうかと思います。手引の改正の考え方や時期もお示しいただきたいと思います。 次に、介護保険について健康福祉部長に質問いたします。介護保険制度は、大変な欠陥だらけでありまして、その内容の多くが今後の政令、省令にゆだねられておることから見ても、住民や自治体の不安は解消されそうにもありません。私は、去る十二月議会で申し上げた点もありますので、特に今回は、介護保険の実施に当たって県の果たす役割に焦点を当てて何点か質問いたしたいと思います。 県民の不安の第一は、保険あってサービスなしになるのではないかという点であります。来年度予算では、サービス体制のあり方を議論するために、土佐清水も入れて十六のブロックで推進会議をつくり、検討を始めることになりました。しかし、ブロック別のサービス体制のアンバランスというのは大変なものがあります。例えば、現在の高齢者保健福祉圏域で比較をしてみますと、施設では、老人保健施設で中央が一〇〇%を超えているのに対して、安芸圏域では三六・八%にとどまっております。在宅三本柱の一つのホームヘルプサービスでは、高幡が七二・六%に対して中央圏域の香美では三六%、ショートステイの専用床では、高幡が八二・八%に対して安芸はわずかに二二・七%にとどまっております。 この到達点をブロック別に直してみたときに、すべての項目とは言いませんが、例えば各ブロックのホームヘルパーの到達点の最高と最低というのはどの程度違ってくるのか、開きはどの程度になるのか。具体例も示して、アンバランスの現状をどうとらえておるのか、お答えいただきたいと思います。 ブロックごとの検討というのは必要であるとは思います。しかしそれ以前に、市町村やブロック任せにせずに、全県を見渡したサービス水準の平均化をどう図っていくのかが大事なことだと思いますので、その点の考え方を具体的にお答えいただきたいと思います。 関連して一つ申し上げますと、現在の方針では、各ブロックの推進会議は、サービス供給体制の主体の検討までをその役割としておりますが、それは今後介護公社の設立や、さらに介護認定審査会の共同設置、もっと言いますと、さらに中芸のような広域連合あたりまでを念頭に置いての検討なのか、お答えいただきたいと思います。 第二に、保険料に関しての質問でありますが、保険料の詳細は今後にならないと明確にはなりませんが、いずれにしても国が言うほど安くないことは間違いありません。特に、第一号被保険者のうちで、年金から天引きの特別徴収の方も大変な負担でありますが、一号全体の三割と言われる普通徴収の方はさらに深刻であります。 問題は、徴収する側の自治体の問題でありまして、一号被保険者の未納による赤字対策は、安定化基金の交付と貸し付けで措置が予定されておりますけれども、自治体ごとの現状を考えれば、その交付基準について、収納率など何らかのペナルティーが設けられる可能性もあると思いますが、このペナルティーは設けるべきではないと考えますが、その点県の見解はどうか、伺います。 三番目に、介護保険によって、従来在宅福祉サービスの県負担割合は四分の一だったものが八分の一へと軽減されることになります。制度改正による県の負担が軽減される金額を幾らと見込んでいるのか、お示しいただきたいと思います。 来年度県予算では、介護保険対象外となる元気な高齢者のリフレッシュサロン事業や、住宅改造の新たな施策が始まろうとしております。その他の分野では、そもそも給食サービスや緊急通報システムなどは介護保険の対象外の事業とされます。このような県単独の新たな事業を起こして横出しの施策を進めることや、また、介護保険対象外の事業に上乗せ措置をするなどして、市町村の事業を支援する必要があると考えますが、今後の取り組みや考え方をお示しいただきたいと思います。 次に、自然保護について文化環境部長に伺いたいと思います。間もなく県立自然公園の区域の変更が、自然環境保全審議会の検討を経て決定されようとしております。その内容は、県立自然公園の面積を六百六十二ヘクタール拡大する一方で、千四百二十三ヘクタールの指定を解除しようとするものであります。問題は、高知市の南北に位置する鷲尾山県立自然公園と北山県立自然公園が、それぞれ四百八十三ヘクタールと四百七十ヘクタール、合わせて九百五十三ヘクタールも縮小されようとしていることであります。県条例による県立自然公園は、県内にあるすぐれた自然の風景地として知事が指定するものでありまして、高知市の北部、住宅地に隣接する北山と南部の鷲尾山山系というのは、高知市や浦戸湾の景観を形成する重要な役割を果たしていると思います。 今回縮小されようとしている地域を見てみますと、北山では高速道路から南の山すそ、また、鷲尾山では主に春野町から高知市横浜にかけての山すその一帯であります。縮小の理由としては、周辺の宅地化の進行や大規模団地の開発、高速道路による分断などが挙げられておりまして、中には刑務所とか春野運動公園、高知南ニュータウンなど、公園区域を解除するのもやむを得ないと考えられる地域もあるのは事実であります。 また、指定から三十年以上経過をして、県立自然公園と指定されても、普通地域においては開発を規制できる実効ある措置がとれない条例であることも十分承知をいたしております。しかし、今度の解除が、北山では高速道路で線引きをしてそこから南を解除する、また、鷲尾山では標高百メートルなどで一律に線引きをして縮小する結果、近隣住宅地と接する、いわゆる里山の多くが自然公園から除外されようとしているのであります。 また、この除外の理由として、朝倉、荒倉周辺の地域では、産業廃棄物処理場や残土処理場が多数設置されたことが挙げられております。この解除される地域のほとんどを調べてみますと、現在でも市街化調整区域がほとんどであります。この区域は、都市計画において、本来は市街化を抑制して自然を守るべき地域でありまして、こうした地域が法の抜け穴をくぐった開発の波に洗われた結果として、今回公園地域から外されようとしていることに対して、本当に残念であり、歯ぎしりする思いがいたします。 今、里山の価値というのが見直されてきていると思います。九六年二月に作成された高知県自然環境保全指針には、次のように書かれております。「近年の農業生産の近代化や都市化、過疎化の問題は、自然豊かな田舎の風景を大きく変貌させたばかりではなく、里山や田畑を含めた農山村地域全体の自然維持機能を低下させ、野生生物の種の数、生息量の減少を招いています。里山は、ある種の植物や多くの動物にとってきわめて重要な生活の場となっていましたが、農業生産の近代化や燃料革命、宅地開発などによって住宅地や植林地に姿を変え、あるいは自然の照葉樹林へと変化しています。一説では、「安定した森林より適当に日光の入る林の方が多様な生物が住める」ともいわれる里山の減少は、県全体の自然の多様性のうえで大きな問題といえます」、こういうふうに書かれているのであります。 県がみずから決めた方針の中に、このように里山の重要性が位置づけられております。特に、県都高知市周辺の里山というのは、地域住民にとっても自然と触れ合う大切な場所であります。都市住民の意識は、今里山の価値を認めて、その保存を求める方向へと大きく変化をいたしておりまして、小高坂山の開発に反対する住民が里山を守るシンポジウムを開き、運動を広げていることも御存じのとおりであります。 そこで伺いますが、部長は里山の重要性についてどのように認識しておられるのか。今回の自然公園からの解除はどのような基準で決定されようとしているのか、お示しいただきたいと思います。 私は、解除の基準の再検討が必要だと思います。たとえ高速道路で分断されたとしても、現に飛び地状の指定はほかにも例がありますし、解除は必要最小限にとどめて、抜け穴的開発のやられているような地域こそ解除すべきではないと考えます。この点も含めて見解を伺っておきます。 次に、この里山の保存についてでありますが、残された自然地域の保全については、まず公有地化が考えられると思います。宅地化のおそれのある地域や里山として保存する価値と緊急性のある地域を限定して、公有化するための新たな基金などを設けるおつもりはないか、伺いたいと思います。 ただ、公有地化というのは随分お金がかかりますし、また、里山というのは人とのかかわりの中で維持されるところに大きな意義があります。里山は半自然的地域として、本来の自然とは異なった多様で価値ある自然でありますから、私権--私の権利はそのままにして、地権者や都市住民の理解と参加のもとに維持管理を図ることに意味があると思います。先ほど上げた県自然環境保全指針には、「公共的な性格をもつ自然の維持・管理を公共事業としてとらえ予算化を図ることも重要」とまで述べられておるのであります。新たな県民参加型の施策を展開すべきと考えますが、この点の御所見も伺っておきます。 この問題の最後に、今回の見直しに当たって、浦戸湾の景観上重要なポイントとなる孕の両岸について、なぜ公園の地域指定がされなかったのか、お聞きしたいと思います。西孕の宇津野山一帯や東岸の東孕は、当然区域に入るべき地域と思います。特に東の方では、川崎氏から寄贈していただいた広大な県有地もありますので、指定に何ら問題はないと思います。今後の新たな指定に向けて努力されるおつもりはないか、伺っておきたいと思います。 全体の質問の最後に、教育長に伺いたいと思います。昨年七月十日付で、解放教育と生活つづり方を結ぶ会、この会の代表者は土佐山田町立山田小学校の現職教頭でありますが、彼がみずからの名前で「第3回解放教育研究集会のご案内」なる文書を学校に配布いたしました。そこには大変驚くべき記述がなされております。読んでみますが、「土佐の教育改革などという、その内容の陳腐さを知ってか知らいでか、声だけはかしがましい現在」などと、今県教委が全力で取り組んでいる土佐の教育改革をやゆした上で、さらにこう書いています。「「殺人的差別者集団・日共」どもの謀略はとどまるところを知らない」。ほかにも「「日共」の部落差別拡大の謀略など」という記述があるわけです。 昨年六月議会で、私は、山田小学校で在校生と新入学予定の一年生、合わせて数十名が山田小学校の現状に失望して、緊急避難として転校せざるを得なかった問題を取り上げました。その答弁で、県教委は重大な問題として受けとめているとの認識を示し、その原因は学校の対応や同和教育のあり方と明確に答えがあったのであります。その後、文部省はこの問題について、同和教育のあり方と教頭への不信が原因だと、当該教頭の言動にまで言及して明確な見解を示しております。 この集団転校問題の当事者であり、原因者である現職の教頭が、みずからの名前で、今度は事もあろうに公党である日本共産党の名誉を著しく傷つける不法な文書を学校に配布していたのであります。この人物は、高知市内に在職当時、同和地区児童の実名入り文書を公表し、父母から人権侵害として強く抗議された前歴を持つ人物でもあります。 教育長は、県民が全力で取り組んでいる土佐の教育改革に対して、「その内容の陳腐さを知ってか知らいでか、その声だけはかしがましい」、つまりやかましい、うるさいなどと中傷、やゆすることが教育者として、特に管理職としてあるまじき言動だと考えるが、どう思われるのか。 また、この文書は、教育の不偏不党、中立をうたった教育基本法に明らかに違反する文書であると思うが、どうか。 この文書作成者である現職教頭は、教育者としてはもちろん、管理職としては失格であると断ぜざるを得ないと思うが、どうか。また、どう対処されるおつもりか、お答えいただきたいと思います。 また、このような人物を管理職として登用した県教委の責任は重大であります。県教委としての責任をどのように考えているのか、明確にお答えいただきたいと思います。 以上で、第一問を終わります。 (知事橋本大二郎君登壇) ◎知事(橋本大二郎君) 牧議員の御質問にお答えをいたします。 まず、国庫補助事業の予算に関連をしてお尋ねがございました。平成十年度の当初予算の編成に当たりましては、財政構造改革の取り組み方針に基づきまして、国庫補助事業につきましてもその内容や必要性を十分に検討いたしました上で、真に必要な事業の予算を計上いたしました。また、来年度には新しい組織を設けまして、事業の評価システムの構築に取り組みますとともに、事業間の連携と調整や事業分野ごとのシェアの見直しなどにさらに積極的な対応をしてまいります。 また、今後の景気対策への対応につきましては、これまでのお答えの繰り返しで恐縮でございますが、国の対策の内容を十分に検討いたしました上で、県の経済や県民生活、それに将来の財政運営に与える影響などを慎重に見きわめながら、総合的に判断をしてまいりたいと考えております。 次に、県債の繰り上げ償還についてお尋ねがございました。先日依光議員にお答えをいたしましたとおり、繰り上げ償還にはあくまでも県債を引き受けていただいております金融機関の御理解と御協力が必要ですので、今後とも金融機関と交渉を続けてまいります。ただ、県債の引き受けと償還は、通常の契約に基づく取引関係でございますので、御指摘のありました銀行の果たすべき社会的責任や役割の大きさとは直接のかかわりはないのではないかと思います。 次に、産業構造の転換に関する御質問にお答えをいたします。まず、過疎化と高齢化の進む本県では、社会保障を充実させることが県経済への波及効果や県内産業の構造転換にも重要ではないかとのお尋ねがございました。お話にございましたように、産業連関の計算の上では、経済への波及効果は社会保障が公共事業とほぼ同等の効果を示しておりますし、雇用の面でも社会保障が公共事業を上回っております。 ただ、もともと公共事業は社会資本の形成を目的とする投資でございますので、経済に波及します効果は、そのときの直接的なものにとどまらず、長期間にわたりまして多くの産業分野の発展に及んでいくという特徴がございます。これに対して社会保障は、そのときに生じます消費が中心になっておりまして、基本的には公共事業のような形でインフラが後に残るものではございませんので、両者の及ぼします経済効果には、大きく分けまして投資型と消費型という傾向の違いがあると思います。 また、雇用に関しましては、社会保障の事業では福祉サービスなど人手を要するものが多いのに対しまして、公共事業では建設資材など製造製品の生産と購入が主体になりますため、もともと社会保障ほど直接的な雇用を生じない仕組みになっております。 こうしたことから、社会保障と公共事業の間の経済波及効果の違いを産業連関表のみで単純に比較することには問題があると思いますが、その一方で、社会保障の持つ経済への波及効果や雇用への効果は、これまで以上に評価をし直し、また注目すべきポイントだと私は思います。 その際、社会保障に関連します産業といたしましては、介護や福祉など直接サービスを供給する分野と、それらのサービスを効率化、高度化するための知能機械から情報までを含めました機器やシステムを供給する分野がございますので、両者を含めまして新しい産業分野としての可能性を追求することによりまして、本県の産業構造の転換につなげてまいりたいと思います。 続いて、それでは産業連関表を用いて県独自に試算をするとどうなるのかとのお尋ねがございました。本県の産業連関表といいましても、一番新しいものが平成二年のものでございますが、これを用いまして、一定期間、具体的にはおおむね一年間でございますが、その間の波及効果を見てみますと、生産を誘発する額は、社会保障と公共事業との間でほとんど差がありません。それに対して、雇用を誘発する効果は、お話にもありましたように、社会保障の方が公共事業の一・七倍になっております。 産業連関表は、これまでも県経済の構造の把握や施策の経済効果の測定などに有効な統計資料としまして活用をしてまいりましたが、今後とも政策形成や行政運営の判断資料の一つとして、さらには県民の皆様に事業の効果を考えていただく資料の一つとして活用をしてまいりたいと思います。 続いて、情報公開条例の改正の内容で過去にさかのぼって適用される範囲についてお尋ねがございました。今回の改正によります新しい規定を施行前の公文書に適用しました場合、御指摘にありましたように情報公開を求める側の知る権利はもちろん侵害をされませんが、従来からの規定を前提として県とかかわってこられた第三者には予期せぬ不利益を与えるおそれがございます。例えば、非公開を前提に開かれた会議の議事録が公開をされました場合、非公開を前提に発言をした方の利益が損なわれるおそれがあることなどがそれに当たります。 こうしたことから、非開示の事項を定めました第六条の規定を、施行前の公文書に適用しますことは避けるべきだと判断をいたしました。 私からは、以上でございます。 (総務部長高尾和彦君登壇) ◎総務部長(高尾和彦君) 情報公開条例につきましての一連の御質問にお答えをいたします。 まず、行政の説明責任についてでございます。情報公開条例は、公文書の開示を通じまして、県民の皆様に県政に対する理解と信頼を深めていただくとともに、積極的に県政に参加をしていただくための制度でございます。条文には県の説明責任というものは直接明記をしておりませんが、県民の知る権利にこたえるために、県の公文書を可能な限り公開することが県民の皆様に県政を説明することにつながると考えております。 なお、このたびの改正では、請求のあった公文書を非開示--開示しないとした場合、その理由をこれまで以上に具体的に示すことを実施機関に義務づけておりまして、その意味では行政側の説明責任をさらに強化していることになるのではないかと考えております。 次に、プライバシー保護型を採用せず、個人識別型をとっているのはなぜかという点でございますが、個人情報につきましては、プライバシーの保護という観点から最大限保護されなければなりませんが、何をプライバシーと考えるかは個人によりまして、あるいは同じ個人でも、個人が置かれた状況によりまして異なるものであることから、現実の条例の運用の面で困難を伴うことが予想されます。こうしたことから、プライバシーの侵害の危険を確実に避けるために、個人に関する情報を原則非開示とする個人識別型の規定といたしております。 次に、公社等の取り扱いでございますが、条例で一定の努力義務を課すためには、県が出資しております法人の中で、県の関与や責任の度合いが特に高い法人を対象とすべきであると判断をいたしましたので、県が二分の一以上を出資する公社等を対象にいたしました。 次に、一部事務組合につきましては、県とは別の独立した地方公共団体でございますので、県の情報公開条例で規定すべきではないと考えております。県市統合病院の一部事務組合の情報公開につきましては、基本的には当該一部事務組合自身が判断することになりますが、その場合には、構成団体であります県と市の情報公開条例が参考とされるのではないかと考えております。 合議制機関等の規定を削除いたしましたのは、合議制機関等は県の行政運営上重要な役割を果たしておりますので、これらの情報を可能な限り公開していくという趣旨によるものでございまして、考え方は議員の御指摘のとおりでございます。 次に、会議の公開制度についてでございますが、会議の設置の趣旨や目的、議題などによりまして個別に判断する必要があると考えますが、情報公開の充実という趣旨からは、できる限り公開することが望ましいと考えております。 最後に、改正条例の手引でございますが、改正条例の解釈、運用を示します手引の作成に当たりましては、県政の透明度を高めるという改正の趣旨が十分に生かされるものにしていきたいと考えております。その作成時期につきましては、すべての職員が新しい条例の趣旨や内容を正しく理解する必要がございますので、職員への周知を含めまして、十月一日から円滑に施行できますように、早目に準備をしてまいります。 以上でございます。 (健康福祉部長山崎淳一君登壇) ◎健康福祉部長(山崎淳一君) 牧議員の、介護保険についての一連の御質問にお答えをいたします。 まず、ホームヘルパーの最高と最低のゴールドプラン達成率についてのお尋ねでございます。平成九年度末のホームヘルパーに係ります目標の達成見込みにつきましては、最高が高幡の窪川ブロックの七九・五%、最低が香南ブロックの三〇・九%となっております。今後、推進会議などを通じまして、こういった差の縮小に努めてまいります。 次に、県下的なサービス供給体制の平準化についてのお尋ねでございます。市町村間のサービス格差の縮小のためにも、まずおくれている地域での在宅サービスの確保を図ることが大きな課題であると考えております。このため、市町村や民間事業者などから成ります広域的な推進組織におきまして、だれがどのサービスを担うかなどを決定し、具体的なサービスの確保を推進してまいります。この推進組織を通じまして、県内の全域でのサービス格差の縮小に向けまして市町村とともに全力で取り組んでまいります。 次に、推進会議での介護公社の設立や介護認定審査会の共同設置、また広域連合の検討についてのお尋ねでございます。推進組織の主たる目的は、在宅サービスの確保でございます。したがいまして、お尋ねのうち公社の設立につきましては、サービス確保のための選択肢の一つとして、推進組織の中で検討されることも想定がされます。なお、介護認定審査会の共同設置や広域連合につきましては、主として保険者の業務に係ることでありますので、別途関係者の合意形成を図りながら検討すべきものと考えております。 次に、介護保険料の収納率によるペナルティーについてのお尋ねでございます。介護保険制度におきましては、六十五歳以上の第一号被保険者の未納による保険財政の不足額につきましては、県に設置する財政安定化基金から資金が交付、貸し付けされることになっております。この基金からの交付、貸し付けにつきましては、保険料の収納率が一定率を上回っていることが必要とされておりますが、この具体的な運用のための条件などにつきましては今後検討されるものと考えております。 次に、在宅サービスに係る県の負担の軽減額についてのお尋ねでございます。現行の在宅福祉サービスのうち、介護に移行いたしますホームヘルプやデイサービス、またショートステイのいわゆる在宅三本柱につきまして、七年度の実績額に基づき計算をいたしますと、約三億四千万円になります。 最後に、市町村事業の支援への取り組みについてのお尋ねでございます。介護保険制度が導入された場合、これまでのサービスが利用できなくなる比較的元気な高齢者につきましては、身近な集会所などを利用し、高齢者の社会参加や生きがい活動の場を確保するための支援や、現在病院や施設におられる介護が必要な高齢者が居住環境の改造によりまして、住みなれた家庭で暮らすことができる条件整備につきまして支援を行うこととしております。 また、介護保険の対象とならない配食や緊急通報サービスなどにつきましては、国において新たに制度の創設が予定されております高齢者在宅生活支援事業や既存制度の活用を図りながら、在宅サービスの充実に努め、市町村を支援してまいります。 以上でございます。 (文化環境部長兵谷芳康君登壇) ◎文化環境部長(兵谷芳康君) 自然公園区域の変更についての御質問にお答えいたします。 まず、里山の重要性についての認識のお尋ねがございました。里山地域は、多様な生物の生育環境としてすぐれた条件を備えているほか、自然体験や環境教育の場などの公益的な機能も備わっているところであると考えております。 次に、自然公園区域の解除の地域を最小限にとどめるよう、見直しの基準を再検討すべきではないかとのお尋ねでございます。県立自然公園につきましては、県の風景を代表する傑出した自然の風景であるところを選定しておりますが、今回その区域を見直すに当たりまして、その基本方針として、守るべきすぐれた自然地域はより規制の強い特別地域として指定をし、その一方で、市街化等により既に自然公園としての選定の要件から外れているところについては、残された地域の風致景観に配慮しつつ区域の変更を行うことといたしましたところでございます。 今回の見直しでは、宅地開発が進んだ都市部を中心に新たに指定あるいは解除を行いましたので、結果として自然公園の面積が減少いたしましたが、今後順次行います他の自然公園の見直しに当たりましては、自然公園にふさわしい地域を積極的に編入し、自然環境の保全に努めてまいりたいと考えております。 次に、里山を保全するための新たな基金の創設についてお尋ねがございました。国立・国定公園や県立自然公園の特別地域などの、特に自然景観のすぐれた土地や自然保護上重要と認められる土地については、これまでも自然保護基金により公有地化を進めてきたところでございます。お話のございました里山については、県下にも数多くございますし、また広大な面積を有しておりまして、それを新たな基金によって買い取り、その保全・管理を行うことは、現状では困難と考えております。 また、里山の人為的な管理を公共事業化していくべきとのお尋ねでございますが、里山の管理については、それを直ちに公共事業化するということは困難と考えておりますが、里山は公益的な機能も有していることから、今後住民みずから環境を保全していく取り組みやグラウンドワーク的な取り組みなど、住民が主体となった維持管理施策を検討していくことは必要ではないかと考えております。 最後に、高知市孕の両岸について、自然公園区域に編入するよう努力すべきとのお尋ねがございました。お話のございました孕の両岸のうち、東孕地区を含みます浦戸湾東部地域につきましては、高知新港の背後地や五台山道路の建設など重要プロジェクトや各種の基盤整備が進行中でございまして、自然公園区域への編入は困難と考えております。一方、西孕地区については、浦戸湾の景観を保全する上で、新たに公園区域に編入することが適当ではないかと考えております。今後、関係機関と調整を進め、地域指定に向けて取り組んでまいりたいと考えております。 以上でございます。 (教育長吉良正人君登壇) ◎教育長(吉良正人君) 学校管理職の問題につきまして、一括してお答えをいたします。 お話のありました件につきましては、現在詳細な点を調査中でありますが、管理職の地位にある教員としてふさわしくないことでございまして、まことに遺憾に思っています。できるだけ早く、調査結果を踏まえて適正に対処をしたいと考えています。 また、校長、教頭などの管理職の登用のあり方につきましては、公立学校教員採用等検討委員会の提言を受けまして、改善を行っているところでございます。今後とも管理職にふさわしい人材の登用や研修の充実に努めてまいりたいと考えております。 以上でございます。 (三十二番牧義信君登壇) ◆三十二番(牧義信君) 第二問を行いたいと思います。 まず一つは、知事に、繰り上げ償還の問題について。確かに通常の取引関係であることは間違いありませんし、四国銀行で言いますと、この四銀が県のまさにメーンバンクとして、ここだけで県債の残高が一千六百四十二億円です。ですから、私は特に四銀を念頭に置いて言いますけれども、現状の県の財政の厳しさ、県民の生活から見たときに、言うならば、改めて知事自身がトップ会談をやってでも、この点についての状況の理解をしてもらう努力の姿勢が必要ではないかというふうに考えていますので、この点については御答弁いただきたいと思います。 それから、産業構造の転換問題について。確かに単純比較はできませんが、茨城県が試算をしたその意図というのは、一方で在宅の福祉サービスに対するおくれが非常に目立つ、特にその市町村の担当者なんかの中には、福祉に対する、何というか、結局福祉に要する経費は何物も生産をしないというとらえ方が非常に強くあるということが背景にあるのではないかということで、県自身が独自に試算をして、報告書をつくって活用しているわけです。 ですから、さっき少し試算の中身を、雇用効果は社会保障の方が一・七倍ということを出されたわけですけれども、そういう意図を持って具体的に報告書などを作成して、やっぱり職員や県民に周知すべきではないかと思いますが、この点の御答弁もいただきたいと思います。 情報公開条例に関して、及の問題についてですが、やはり知事が例として出された問題というのは、非公開が前提であったところの問題については困る、確かにそうだと思います。しかし、六条の中の、例えば公務員の氏名とかいうような問題については、もう今までの経過の中で既に公表することが判例等ではっきりしているわけですから、それを全部ひっくるめて及できないという考え方は、私はおかしいというふうに思っております。 知事に伺いたいのは、公社と一部事務組合の問題についての知事自身の見解というか姿勢というのを伺っておきたいのですが、先日、山本副知事の公社を見直しせないかぬという答弁にありましたように、その要綱を見せてもらいましたが、見直しの対象をちゃんと四分の一以上を見直しするというふうに答えられたでしょう。つまり、公社を、県が主体的に見直しするということの対象を四分の一にしているということは、そこに県の関与が非常に深くある。これは、私は自治法上もちゃんと言えるのではないかと思います。この点についてはやはり、せめて四分の一以上というところを含めるべきではないかと思いますが、知事のお考えも伺っておきたいし、一部事務組合について、さっき自治法上の問題について、確かに組合は別の地方公共団体、そのとおりでありますが、今後いろいろ経過もある病院統合の問題ですので、その当事者の一方である知事自身の、今度の病院の一部事務組合についての考え方なりを伺っておきたいと思います。 それから、合議制機関の審議会問題についてでありますが、この点もちょっと知事に伺いたいんですけれども、やはり情報公開というのは、文書公開と、一方でプライバシー保護条例と、さらに会議公開というあたりが一体のものとして、本当の意味で開かれた県政というふうに言えるのではないかと思うし、私が紹介した例というのは、そういう論立ての中で、やはり先進的に会議の公開を行政側の姿勢として示して、具体的な基準などもつくりながら、それぞれの審議会で取り組んでもらっているというふうになっていると思います。私はその制度化というのが必要だと思いますので、この点も知事のお考えを伺っておきたいと思います。 それから、介護保険問題については部長に一点だけ聞きますが、答弁の中でありましたように、アンバランス、ヘルパーでも大体二・六倍です。これは現状では、保険の権利性を本当に平等に保障できるかということへの疑問がやっぱり残ってくるわけでありまして、在宅、施設含めた独自の支援策をどのように考えておられるか。 それから、自然公園問題については文化環境部長に。地域の住民から見たときの里山の重要性というのは、今コミュニティー計画で高知市で議論がされていると思います。そういう意味では、高知市の住民の納得と合意というのをどういうふうに考えるか。この点について伺って、第二問といたします。 (知事橋本大二郎君登壇) ◎知事(橋本大二郎君) 牧議員の再質問にお答えをいたします。 質問の数がちょっと多くございましたので、もし漏れたら、また御指摘をいただきたいと思います。 一つは繰り上げ償還に関してでございますが、私の立場は先ほど申し上げたとおりでございますが、これから金融機関と交渉していくときに、当然県としての実情などをお話ししながら、誠心誠意交渉をしていくことになろうかと思います。ただ、私がトップ会談でということについては、この場でお約束はできません。 次に、社会保障と公共事業の経済波及効果について再質問がございました。私は牧議員の御指摘を否定的に申し上げたつもりはございません。大変私はよい御指摘だと思いますし、これからそういう視点で、産業連関表などを使ってさまざまな事業効果を見直していくべき時代だと私も思っております。ですから、先ほどのお話にありましたように、県民にそういうことを知らせるような工夫ということは、何らかのやり方を考えていきたいというふうに思います。 それから、情報公開条例につきまして、公社の情報公開について二分の一以上という条例上の規定をしておりますけれども、四分の一以上という御指摘の面につきましても、当然同じようなスタンスで情報公開がなされるように県として指導をしていきたいというふうに思います。 また、一部事務組合の点について、病院統合に特に関する一部事務組合につきましては、今後県市の間で一部事務組合の整備についての話し合いが行われますので、その中でやはり同じ形で情報公開がなされるように話をしていきたいというふうに思います。 あわせて、情報公開条例に関して、会議の公開の制度化を条例の中に書き込むべきではないかという御趣旨の質問であったと思います。この点につきましては、先ほど御紹介のありました川西市の例など、今後勉強をさせていただきたいと思います。 私からは、以上でございます。 (健康福祉部長山崎淳一君登壇) ◎健康福祉部長(山崎淳一君) 再質問にお答えをいたします。 在宅サービスへの独自の支援策についてのお尋ねでございます。この点につきましては、一点が推進会議への支援、そしてこの推進会議で策定をされましたサービス確保などへの支援に係る助成といったもの、あるいは介護保険事業支援計画による支援、こういったもので在宅サービスの支援を今後進めていきたいというように考えております。 以上でございます。 (文化環境部長兵谷芳康君登壇) ◎文化環境部長(兵谷芳康君) 再質問にお答えいたします。 住民の合意をどう考えるかという御質問でございますが、そうした点も踏まえまして、公園区域の変更をする場合には市町村の意見を聴取するようになっております。今回の変更につきまして、高知市からは異議ないものとの回答をいただいております。 以上でございます。 (三十二番牧義信君登壇) ◆三十二番(牧義信君) ただいま知事からの御答弁で、私は情報公開の中の公社問題、一部事務組合について大変積極的な重要な御答弁があったというふうに思っております。 最後に、一点だけ申し上げておきますが、教育長、あなたは何を調査するのですか。ここにこういう文書がその人の名前である。もう既に事実ですから、厳正な対応をすることを強く求めて、すべての質問を終わりたいと思います。(拍手) ○議長(土森正典君) 以上をもって、本日の議事日程は終了いたしました。 明十二日の議事日程は、議案に対する質疑並びに一般質問であります。開議時刻は午前十時、本日はこれにて散会いたします。 午後三時四十二分散会...